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    第237回 ~弁当箱が弁当箱に戻る未来、プラスチックで作る熱分解油 ~の巻(2023年12月6日)

    かめりん、お弁当買ってきたよ!一緒に食べよう~

    うさりん、またお弁当の新規開拓してきたのね。コロナ禍に、テイクアウトやデリバリーなどで非接触型の生活習慣が定着したから選ぶ楽しさが増えたわね。

    そうだね、いろんなお店がテイクアウトの容器を利用する機会が増えたよね。あれ?こんな会話を以前にもした覚えがあるような……。

    これだけ長く一緒にいるんだから、そういうこともある。気にしない気にしない。その時には、「プラスチックは便利だけど、使っている種類がいろいろあって環境に優しいものもある」と学んだわね。

    そうそう、ポリ乳酸だったね。

    植物由来の再生可能原料から作られるプラスチックで、微生物により分解可能だから環境に優しい素材として注目されているということだったわね。

    プラスチックを何から作っているか気にするのと同じように、使ったお弁当箱をどうするかも気にしたほうがいいよね。

    うさりん、いいところに気が付いたわね。日本のプラスチックはサーマルリサイクルといって、熱エネルギーとして回収する方法が多く用いられているの。素材としてリサイクルするのが難しいプラスチックを「熱エネルギー」として回収するから、手間やコストがかからないなど利点があるのね。

    でも、リサイクルというからには、再利用したいよ。

    マテリアルリサイクルといって、回収したプラスチックから別のプラスチック製品を作ったりもしているわ。ただ、プラスチックの選別や不純物の除去で人の手が必要になるし、それでも不純物が混ざっていると、品質を保証するのが難しくなるね。

    お金もかかるし品質も落ちてしまうんだね。

    また、ケミカルリサイクルとしては、高炉還元剤、コークス炉化学原料、アンモニア原料などにもなっているわね。こうしたなかで、世界的に注目が集まっているのは廃プラスチックを分解し油に戻す技術ね。

    プラスチックは油からできているけど、油に戻すことができるんだね。

    そうね。廃プラスチックを分解してできた油は「熱分解油」とも呼ばれるわ。日本ではオイルショックのころから研究開発が進められてきた技術なの。もともとは廃プラスチックから原油に代わる油を生産しようとしていた。今まではリサイクルが困難とされていた複数の素材からなるプラスチック製品などを分解して、リサイクル率向上に貢献すると期待が集まっている。現状では分解するために大きなエネルギーが必要などの課題もあるけど、将来的にはこれまでリサイクルが難しかったプラスチック製品が大量に再生できるようになるかもしれないわね。

    再生された熱分解油はどうなるのかな?

    熱分解油は従来の化石燃料と一緒に製油所や化学プラントで使用することができるわ。プラスチックのリサイクル効率が上がるだけじゃなくて、製品にするための工程では、既存の設備が使えるため、新しい設備を建設して二酸化炭素を排出してしまうことも防げるわね。

    コストがかかるけど、廃棄物が資源に戻ると考えればすごい技術だね。

    そうね。日本ではENEOSと三菱ケミカル、出光興産と環境エネルギー、それぞれが協力しながら事業化を進めているわね。いずれも石油精製設備やナフサクラッカーの原料として利用されることになるそうよ。世界をみても大規模なプロジェクトが進行中だね。

    じゃあ、僕たちが食べた後の弁当箱からできたプラスチックが弁当箱になって戻ってくる、なんて日が来るかもしれないね。

    そのとおり。でもね、今でも廃プラスチックは貴重な資源になるから、洗浄・分別をきちんとやってから、決められた方法で捨てようね。

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    (文:北村 )
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