記者の眼記者の眼

第238回 (2024年3月27日)

 引き続き上海での暮らしを述べたい。このところ道路の渋滞がますますひどくなり、通勤や生活に多大な支障が出ている。その要因の1つが新エネルギー車(NEV)の急増とされている。都心部を走る車の半分以上が、NEV車に割り当てられる緑色のナンバープレートと思われる。

 

 2023年時点で上海の乗用車登録台数は計約580万台。このうちNEV車は129万台に達し、全体の22%を占める。いまや中国のNEV保有台数は世界一だ。

 

 中国でNEV車を購入するメリットは、価格の低下にある。中央政府の強力な後押しに加え、地方自治体の支援も手伝い、若者が購入しやすい環境となっている。上海市は3種類のナンバープレートを発行しており、それぞれ購入価格が異なる。都心部まで乗り入れ可能な既存の燃料車は青色ナンバーで10万元相当。周辺地域用の青色ナンバーが400元相当であるのに対し、NEV車専用の緑色ナンバーは無償となっている。

 

 23年の統計によると、上海の乗用車購入には次の4つの特徴がみられるという。

  • 40歳以下の若年層の購入者が増え、消費の中心になっている
  • 国産品の購入が急速に増え、新車の43.4%を占める
  • SUV車が人気で、新車の半分ほどを占める
  • NEV車の販売量は通年で35万台を記録

 

 流行に乗り、自分も一時、NEV車の購入を検討した。ただ、このところ車両火災や遠距離運転時に充電所を探すのが困難など、負のニュースを見かけるようになった。さらに周辺の韓国や日本などでNEV車が普及しておらず、水素、アンモニア、バイオなど新燃料の開発も進んでいることから、NEV車の購入を躊躇しているところだ。

 

 

(上海事務所・辺)

 

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