記者の眼記者の眼

第227回 (2024年1月10日)

 先日、化学業界の新年賀詞交歓会に出席してきた。コロナ禍に伴い2021年と22年は中止、23年は参加人数を制限しての開催となっていた。ところが同年5月に新型コロナ感染症が5類に引き下げられたことを受け、24年はついに人数制限なしでの開催に戻った。多くの業界関係者が出席し盛況となった。

 

 ただし、石油化学業界の業績としては厳しい状況が続いている。国内外でコロナ関連の規制が緩和あるいは撤廃されたところで、期待されていたほどの改善が見られないのが現状のようだ。プラスチック関連の需要でいうと、半導体不足の解消などを背景に自動車用途は回復している一方、日用品や雑貨などの用途はさっぱりといった声を聞く。コロナ禍を経て生活スタイルが変化してしまったのか。景気が低迷しているのが根本的な問題か。脱炭素社会を目指すなか、石油由来のプラスチックの使用を手控える方針も少なからず影響しているのではないかと思うが、これについては文句を言ってもしようがないだろう。

 

 石油化学業界の方に取材していると、長らく「需要は依然として低迷している。いつになったら回復するのか兆しが見えない」という話ばかり耳にするので、申し訳ないような心苦しいような気分になることもある。24年は辰年ということもあり、今年こそ石油化学業界にとって飛躍の年にならないかと願うばかりだ。

 

 

(田鎖)

 

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