記者の眼記者の眼

第220回 (2023年11月8日)

 107日のイスラム組織ハマスによるイスラエル市民への攻撃以降、毎日、この地域の映像がニュースで映し出されるようになった。子供のころに通った日曜学校でいつも目にしていたものだが、こういう形で見るようになるとは夢にも思わなかった。映像で流れるガザ地区の破壊は文字どおり目を覆うばかりで、ロシアによるウクライナ侵攻にしろ、21世紀になっても人間は武力による解決とは縁を切れないようだ。

 

 1973年に勃発した第四次中東戦争の時はオイルショックを引き起こし、その後の世界経済は混乱を極めた。今回、世界銀行が1030日に発表した「一次産品市場の見通し」によると、今のところ部分的な紛争にとどまっていることもあって、原油価格は6%しか上昇していないという。ただ、今後ヒズボラの関与など、背後に控えるイランが参戦するような「大規模な混乱」となれば、石油供給の縮小から原油価格は1バレル140157ドルになると予想されている。コロナ禍から復興の途にある世界経済への打撃は言うまでもないが、原油価格の高騰はウクライナを侵攻している資源大国ロシアを利することになるとの指摘もある。何より子供をはじめ民間人が犠牲になる紛争は一刻も早く停止すべきだ。

 

 「汝。殺すなかれ」、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の共通の聖典である旧約聖書に出てくる「十戒」の戒律だ。共にエルサレムを聖地とする宗教を信仰する者同士、もう一度思い出して欲しい。

  

(工藤)

 

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