記者の眼記者の眼

第217回 (2023年10月18日)

 脱炭素社会の実現に向け、再エネ拡大が急務だ。なかでもバイオマス発電は安定電源のひとつとして今後の伸びが期待されるが、簡単ではなさそう。新たな発電所の立ち上げ遅れや、既存の発電所のトラブルを伝えるニュースが巡り、輸入燃料のパーム椰子殻(PKS)は、燃料調達の持続可能性を担保する第三者認証の取得期限が迫る。

 

 トラブルや制度への対応状況は需給に大きく関わるのだから、当事者に話を聞き、一次情報を得ることは大切。しかし、スポット取引どころではないプレーヤーも多いだろうと想像し、価格評価会社に何ができるか、取材をする前に考えてしまうこともある。

 

 実際に電話をすると、真摯に、出来るだけ情報を伝えようとしてくれるプレーヤーが大勢いる。取材への対応を、自ら情報を発信できる機会と捉える場合もあれば、得られていなかった価格情報や周辺情報を聞きたいという目的もあるだろう。いずれにしても取材が出来たときには、自分がプレーヤーとマーケットを繋ぐ、この業界を構成するひとつのピースになれたのではないかという思いになり、また前を向いて次の取材に進むことができる。

  

 火災やトラブルで長期間に渡り運転停止となっている発電所も多い。また、現時点では、第三者認証の取得が間に合わず、来年度以降に多くの発電所が運転停止を余儀なくされると見込まれている。順風満帆とはいえない道のりを、私もともに進んでいく気持ちで今日も取材をしたいと思う。

 

(柏原)

 

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