記者の眼記者の眼

第175回 (2022年12月7日)

 「生きていくにはお金がかかる」ということをまざまざと知らされる一年間だった。今年2月に始まったロシアとウクライナの戦争は長引き、エネルギーや食糧の供給不安が増している。人が生きていくために欠かせないものが次々と値上がりし、私たちの生活が脅かされている。

 

 総務省が1118日に発表した10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で3.6%の上昇となり、約40年ぶりの上昇幅だった。中でもエネルギー関連品目の上昇率は15.2%と非常に高い水準となっている。「燃料油価格激変緩和補助金」のおかげでガソリン代は2.9%、灯油は13.3%といった水準に抑えられているが、電気代は20.9%、都市ガスは26.8%と大幅な上昇となっている。

 

 日々、エネルギーの価格を追いかけていると、それを使う人達の生活を考えざるを得ない。ガソリンがなければ車は走れないためどこにも行けないし、雪国では灯油がなければ凍えてしまう。記事の中で「小売価格の高騰から販売量が減少」と書くことがあるが、それは生活の一部が削られてしまっていることだと感じる。もちろん、私自身もそれらエネルギーを使う消費者のひとりだ。

 

 師走に入れば、クリスマスや正月の準備などで何かと出費がかさむ。久々の移動制限のない年末年始にもかかわらず、生活上の懸念が拭えず心穏やかに過ごせないのは悲しい。世界的な物価の高騰を抑えるためにはもちろん、平和のためにも戦争の少しでも早い終結を祈りたい。

 

(和気)

 

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