記者の眼記者の眼

第170回 (2022年11月2日)

 米著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイの石油株取得の動きが加速している。同社は、米石油メジャーの一角であるシェブロン、シェール大手のオクシデンタル・ペトロリアムの株式取得に積極的だ。特に、オクシデンタルの株式取得については発行済み株式の20%を超えたようで、買収も視野に入れているとされる。

 

 また、同社は2019年から2020年にかけて、原油のみならず資源価格全般が急落した時に、日本の5大商社の株式を大量に取得したことでも知られている。総合商社は、エネルギーを中心に資源権益を多く持つ。

 

 同社はさらに金融・保険のほか、鉄道会社、発電や送配電事業のようなインフラ事業には、安定的な収益を稼ぎ出すとして積極的に投資してきた。2020年には子会社を通じて、米国天然ガス輸送・貯蔵事業も買収。つまり、事業の継続性へ確信が持てる、あるいは割安に放置されている企業への投資が同社の投資の本質だ。

 

 一方、シェブロンやオクシデンタルへの投資加速は、原油や天然ガス価格の騰落に大きく影響を受けるのは必至で、エネルギー価格は上昇すると踏んでの投資行動だろう。

 

 1981年9月のピークアウト以来下落し続けた米長期金利の底入れは20207月、原油と金利の付かない資産である金とのレシオの底値は20204月。同社のエネルギー株購入時期と一致している。コロナ禍での金融緩和や財政出動は、マネーの目減りを表面化させると睨んだに違いない。

 

(山田)

 

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