記者の眼記者の眼

第130回 (2021年10月27日)

 西横綱の照ノ富士は926日、結びの一番で東大関の正代を寄り切った。両国国技館で開催された9月場所の成績は132敗。5度目の幕内最高優勝を遂げた。

 

 毎場所、優勝力士は千秋楽の取組後、表彰式に臨み、優勝賜杯、総理大臣杯を始めとして諸外国からの友好杯、国内の様々な自治体から数多の賞などを受ける。

 

 友好杯の送り主の中にはアラブ首長国連邦(UAE)も名を連ねる。日本にとっては石油輸入の相手国としても大切な存在。そのUAEは優勝力士に副賞としてガソリン1年分を贈ることを習いとしている。

 

 この副賞、いつまで続くのか。ガソリンは日本経済や生活を支える資源である石油から生産される重要な製品のひとつ。一方で、2050年のカーボンニュートラルを目指し、世の中は脱炭素へと草木もなびく様相。人々の行動や社会が急速に変容しようとしている。

 

 UAEは脱炭素社会を見据えて積極的に動いている。日本とUAE4月、水素分野の協力で覚書を締結した。水素政策の情報交換や水素製造、日本への輸送を含む供給網構築、規制・基準の整備の情報交換などを通じ連携していく。

 

 UAEはブルー水素に必要な天然ガスが豊富。太陽光発電の建設にも取り組んでおり、グリーン水素の製造についても有望という。将来、UAEが副賞を水素1年分に切り替えることも十分にありそうな話。エネルギー価格の指標にはドバイ原油になり代わり、ドバイ水素が現れているのかもしれない。

 

 

 

 

(戸塚)

 

このコーナーに対するご意見、ご質問は、記者の眼まで 電話 03-3552-2411 メール info@rim-intelligence.co.jp