記者の眼記者の眼

第129回 (2021年10月13日)

 

 荷物になるし置いていきたい。いやいや必要だ。健康のため始めたハイキングの準備をするたびに迷う。雨具のことだ。山でズブ濡れは悲惨だし、体が濡れれば疲れも溜まる。結局のところ持っていかないという選択肢はないのだが、嵩張るし、荷物が多少なり重くもなるので出来れば置いていきたいのが本音である。

 

 山の天気は崩れやすい。出発時の快晴が嘘の様に雨に降られることもある。そんな時は待ってましたとばかりにカッパを羽織る。やっぱり持ってきて良かった!と思う瞬間だ。荷物を減らしたいのは山々だが、削減を優先するあまり、本当に必要なものまで削ってしまっては意味がない。減らし方はよくよく考える必要がある。

 

 最近は脱炭素の話題に事欠かず、化石燃料の使用は削減ありきで話が進む。筆者は気候変動対策の必要性に異論を挟むつもりはないし、野心的な脱炭素目標を批判するつもりもない。再生可能エネルギーの活用も大賛成だ。ただ、化石燃料の使用削減が急務、一部では座礁資産といった言葉で必要以上にお荷物扱いするような風潮は寂しく思う。

 

 現時点のエネルギーコストを考慮すると、日本の製造業が国際競争力を維持する上で化石燃料は必要だ。原子力発電の利用に慎重であればなおさらだ。脱炭素コストが嵩み、日本経済が疲弊するのは誰だって不本意だろう。どんな「お荷物」も減らし方は慎重に。時代錯誤かもしれないが、必要なものは必要だと誤解を恐れず唱えていきたい。

 

 

 

(西江)

 

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