記者の眼記者の眼

第128回 (2021年9月29日)

 

 先日、動画投稿サイトを閲覧していると、矢野顕子と忌野清志郎の歌う「ひとつだけ」が目に留まった。2009年5月にこの世を去ったロックスターの歌声は、歌詞に別の意味を持たせ我々の心を揺さぶる。案の定、コメント欄は同年代の人々の賞賛で埋め尽くされている。

 

 ところがそのなかで、「二人の音楽は絶対に若い子に勧めてはいけない」という声をみつけた。興味を持って読み進めると、(思い入れを込めて勧めると)「変な先入観が植えつけられるから」だという。理想としては「二人の音楽は辿り着くものであって欲しい」と言うのだ。

 

 確かにそうだ。人生経験の少ない若者が演歌に興味を持たないように、それぞれの経験、立場によって感じ方は変わる。自分たちの価値観を押し付けがちな年長者に対し、上手く戒めていると感心させられた。

 

 それでは次の段階、若い人たちが二人の音楽に辿り着いたあとはどうすればよいのか?2017年7月に外務省がPAPPでヒットを飛ばしたピコ太郎を起用し、「持続可能な開発目標(SDGs)」の啓蒙活動を始めた時はほとんど関心を払っていなかった自分自身も、国際海運の温室効果ガス(GHG)削減の動きが加速するなか、SDGsにも無関心ではいられなくなった。船会社/船主にとっても重油に代わる燃料を選択する期限が迫っている。リムの役割はひとつだけ、読者がこの問題に興味を持った時、二人の音楽に辿り着いた若者たちにするように、わかりやすく必要な情報を提供していくことだ。

 

 

 

(小泉)

 

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