記者の眼記者の眼

第108回 (2020年12月9日)

 2020年の業務面での変化といえば、一年の大半が在宅での勤務になったことだ。

 

 普段から取材先の方に電話やメールで連絡したり、社内の人間とネットを通じて情報や記事のやり取りをしたりという下地があったし、IT担当社員の尽力もあり、家が職場になっても技術的な問題は少なかった。取材先も多くの方が在宅勤務を導入しているようだが、「家でも仕事はできるのだから、出社しないで済むならそのほうがいい」といった意見も聞こえてくる。

 

 ただ、自分はその限りではなかった。今では社内の人間との会話はウェブチャットが中心になったが、対面と比べてコミュニケーションを取りづらいと感じることも多い。家で一人で仕事をしていると、他の社員と一緒に働いているという意識も希薄になりがちだ。

 

 ほかには、通勤時間が自分にとっては良い気分転換になっていたことにも気づいた。家で目を覚まし、家で仕事をし、仕事を終えたらそのまま家で夕食を取るとすべてが地続きになると、気持ちを切り替えづらい。

 

 とはいえ、今はこの状況を受け入れて慣れていくしかない。今までのように皆が自由に出社したり外食したりできる日はすぐには戻ってきそうにない。職場が会社から家に移ったとはいえ、これまでと同じように働けているだけでも幸運なのかもしれない。私が取材している石油化学のマーケットだって、コロナ後のどん底から這い上がってきている。きっと自分の仕事にも新しいチャンスが広がっている。

   

(田鎖)

 

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