記者の眼記者の眼

第131回 (2021年11月10日)

 幼い頃、21世紀は未来だった。想像するだけでワクワクと楽しみがこみ上げ、見た目も大きく変わる時代だと考えていた。実際に時代の扉を開いてみると、21世紀は常識の枠が拡大した時代だと感じる。手元の小さな媒体で情報の入手と人との交流ができるようになり、買い物や仕事も外出せずに遂行できるようになった。ロボットのペットを迎え、愛情の奥深さを学べるものになった。

 

 一方、文化の営みの大切さに改めて気付く時代とも感じる。技術が進歩したいまも変わらず、人が奏でる美しい音色に抒情性や自然の豊かさを感じ、寂しさの募るときには人の温もりが心を癒す。古の技術が料理の味を高め、我々の気持ちを満たしてくれる。

 

 一見相容れない両極端にある価値観が共存し、新たな時代の文化を形成しつつある。変わるものと変わらないもの。それぞれの良さを突き詰めることで、21世紀のワクワクとした楽しさがより広がると信じている。

 

 エネルギーの変革と転換が求められるいま、必要なことは相容れない両極端の価値観を融合することだろう。その1つが化石燃料の安定供給と環境保全かもしれない。発電の最需要期に、LNGや石炭、石油を安定した価格で供給する一方、世界共通の目標である二酸化炭素の排出実質ゼロを目指す。両極端の価値観を支える技術がこれからどのように発展していくのか。常識の枠が拡大した時代を、人そして記者として寄り添いながら歩んでいきたい。

  

 

 

(山岡)

 

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