三井物産プラ=12月からアドブルー値上げ、国内需給逼迫で
アドブルー販売大手の三井物産プラスチックは、12月以降に適用するアドブルーの販売価格を引き上げると、11月下旬に販売店各社に通知した。ローリー配送は現行からリットルあたり15円、バックインボックス(BIB)は同20円上げる。具体的な値上げ適用のタイミングは向け先ごとに多少のばらつきもあるようだ。
同社は三井化学が製造するアドブルーを販売している。原料不足に伴う国内のアドブルー需給の逼迫で、供給を上回るオーダーが集まるなか、競合他社並みの値上げを打ち出した格好だ。在庫が容易な荷姿のBIBは注文が特に多く、品薄感が強いことなどから値上げ幅を大きくしたもよう。
アドブルーを巡っては、原料となる尿素輸入価格の急騰などを受け、伊藤忠エネクス、日本液炭、日星産業などの国内の有力販売業者が11月以降、相次いで15円程度の値上げを通知していた。
これまで値上げの方針が不透明だった三井物産プラが今回、明確に値上げを打ち出したことで、各社の原料コストの転嫁がおおむね一巡した形だ。
原料尿素の輸入価格が高止まりした状態が続いているため、主要メーカーの中には、早くももう一段階の値上げを視野に入れる向きも出始めている。
一方、三井化学など液化天然ガス(LNG)から尿素を作るメーカーのアドブルー製造コストは、このところの国際原油市況の急落を受け、下落傾向にある。
尿素を国内で製造するか、輸入するかによって、今後、アドブルーメーカーの販売価格に差異が生まれる可能性もありそうだ。
※『CROSSVIEW軽油』第89号(21年11月22日発行)でアドブルー関連記事「三菱ケミカル、新日本化成がアドブルー値上げ、三井物産プラは沈黙」を掲載しています。