電力=4月1~5日:電力スポットは前週比で下落、春の陽気で需要鈍化
新年度スタートとなった4月1~5日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週比で東西ともに軟化した。春らしい陽気が続いたことで、暖房など空調需要が鈍化し、電力スポットの上値が抑えられた。ただ、一部では「気象動向の割には若干高い印象」(新電力の需給担当者)との声も聞かれた。定期点検に入った火力発電が多いため、予備力が低下していることや、「今年度は市場調達比率を高めたプレーヤーが多いとみられるため、値動きは大きくなりやすい」(新電力の市場取引担当者)といった見方もあり、ちょっとした気象の変化や設備トラブルなどが発生した場合、価格の値動きは大きくなりやすい状況にあるようだ。 東西のメインエリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、1日が3.36円、2日が1.84円、4日が0.40円、5日が0.60円の東高西低で、3日が0.23円の西高東低だった。
燃料相場は、前週比でLNGと石炭が小幅安、原油が上昇した。 北東アジア市場のLNGスポットは、週後半時点(4月4日)で期近の24年5月着品がmmBtuあたり9ドル台前半となり、前週末(3月29日)から0.2ドル程度の小幅下落となった。冬の需要期を終え、気温も上昇傾向となったため、発電用需要が鈍化した。経済済産業省3日に公表した、3月31日時点の発電用LNGの在庫は148万トンとなり、前週から4万トン減少した。前年3月末時点の233万トン、過去5年平均の214万トンをいずれも大きく下回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、週後半時点で24年4月積みがトンあたり128ドル台後半となった。前週末から4ドル程度の下落となった。ガス価格の下落を映した。 原油相場は、5日午前時点でWTIの24年5月物がバレルあたり86ドル台後半、ブレントの24年6月物が90ドル台後半で推移した。前週末から3~4ドル程度の上昇となった。米国や中国の経済指標で改善の動きが見られたことや、中東やウクライナ情勢など地政学リスクが一段とと高まったことが強材料となった。
週を通じた実勢高値は、3日に東京から九州で付けた22.35円。一方、実勢安値は0.01円となり、1日と2日は東京を除く8エリアとシステムプライス(SP)、3日は北海道と東北、4日は四国、5日は北海道、東北、四国でそれぞれ付けた。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が前週比4.67円安の9.14円、東北が同4.61円安の8.63円、東京が同2.29円安の10.99円、中部が同1.23円安の10.09円、北陸が同0.93円安の9.80円、関西と中国が同0.57円安の9.80円、四国が同0.99円安の9.32円、九州が同0.20円安の9.80円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週比13.9%増の10億6,738万1,100kWh、買い札が同7.3%減の8億4,045万3,120kWhとなった。約定量の週間平均は同0.6%減の6億4,310万570kWhだった。
4月1~5日の9エリアの電力需要は、108億4,714万kWhとなり、前週3月25~29日の118億3,790万2,000kWhから8.4%減少した。なお、曜日を合わせた前年の4月3~7日の需要実績は106億1,310万8,000kWhで、増加率は2.2%となった。
4月1~5日のJEPXの先渡市場では、約定がなかった。
4月1~5日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。合計664枚、66.4MWの約定があった。
4月1~5日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり(4月1日は休場)。195件の約定があり、取引ロットは1,460MW、取引数量は1,022.05GWh(10億2,205万2,000kWh)となった。
4月第2週の電力スポットは、第1週並みの価格が続きそう。過ごしやすい陽気が続くため、冷暖房ともに不要となる見通しで、電力需要は低調になるとみられる。ただ、週前半は全国的に曇天が続く予報のため、太陽光発電は限定的となり、0.01円など極端な安値は付けないとみられる。ただ、週半ば以降は晴れ間が予想されているため、太陽光比率の高い九州や四国、東北では平日でも0.01円を付ける可能性がありそうだ。
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