電力=3月25~29日:電力スポットは東が続伸し西が反落、東西の需給動向に差異
3月25~29日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週比で東日本が続伸した一方、西日本が反落した。東西ともに週を通じて曇天の日が多かったため、太陽光発電は減少傾向となったものの、気温は東日本が低め、西日本が高めの地域が多くなった。また、東日本ではJERAのLNG火力が27~29日にかけて燃料制約で15基以上が停止するなど、東西の供給動向にも差異が生じた。こうした需給動向を背景に、東西の価格は真逆の値動きとなった。 東西のメインエリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、25日が0.41円、26日が3.59円、27日が2.76円、28日が2.34円、29日が5.50円の東高西低だった。
燃料相場は、前週比でLNGと原油が小幅高、石炭が上昇した。 北東アジア市場のLNGスポットは、週後半時点(3月28日)で期近の24年5月着品がmmBtuあたり9ドル台半ばとなり、前週末(3月22日)から0.2ドル程度の小幅上昇となった。在庫積み上げ需要などで欧州の天然ガス相場が堅調に推移し、北東アジア市場のLNG相場もつれ高となった。ただ、北東アジア市場では中国やインドなどの買い気が乏しく、相場の上値は重かった。経済済産業省が28日に公表した、24日時点の発電用LNGの在庫は152万トンとなり、前週から8万トン減少した。前年3月末時点の233万トン、過去5年平均の214万トンをいずれも大きく下回った。前述のように、東日本で低めの気温が続いた影響などから需要が伸びた。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、週後半時点で24年4月積みがトンあたり132ドルとなった。前週末から7.5ドル程度の上昇となった。ガスや原油が堅調に推移したことを映した。 原油相場は、29日朝の時点でWTIの24年5月物がバレルあたり83ドル超、ブレントの24年5月物が87ドルで推移した。いずれも前週末から1.5ドル程度の上昇となった。日によって上げ下げまちまちとなり、ロシアの供給不透明感や米連邦準備理事会(FRB)による利下げ観測が強材料となった一方、米国の原油在庫の増加や主要通貨に対してドル高が進むなど弱材料も散見された。
週を通じた実勢高値は、26日の東北と東京で付けた23.96円。一方、実勢安値は0.01円となり、27日は西日本とシステムプライス、29日は北陸から九州の5エリアでそれぞれ付けた。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が前週比0.07円高の13.81円、東北が同1.11円高の13.24円、東京が同1.03円高の13.28円、中部が同0.51円安の11.42円、北陸が同0.86円安の10.73円、関西と中国が同1.16円安の10.37円、四国が同1.22円安の10.31円、九州が同0.06円高の10.00円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週比3.7%減の9億3,716万1,090kWh、買い札が同4.4%減の9億653万8,930kWhとなった。約定量の週間平均は同5.2%減の6億4,720万9,090kWhだった。
3月25~29日の9エリアの電力需要は、118億3,790万2,000kWhとなり、前週3月18~22日の126億5,824万3,000kWhから6.5%減少した。なお、曜日を合わせた前年の3月27~31日の需要実績は108億7,776万5,000kWhで、増加率は8.8%となった。
3月25~29日のJEPXの先渡市場では、約定がなかった。
3月25~29日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。
3月25~29日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。
新年度最初の週となる4月第1週の電力スポットの動向は注目されそう。相対電源など様々な契約がリセットされるなか、プレーヤーの調達行動も変化が出るとみられるため、価格動向にも影響が出てくる可能性がある。ただ、桜の開花の地域が広がるなどようやく春らしい陽気となり、電力需要そのものは低減するため、価格の上値は抑えられるとみられる。
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