LNG=2月12~16日:北東アジア着相場、昨年6月以来の安値
DES北東アジア相場は先週、期近着が一時8.40~8.70ドルと昨年6月上旬以来の水準に下落した。旧正月で中国や韓国の需要家が市場に見えづらく、北東アジア全体の買い気は低調だ。加えて、「市場で春が意識され、センチメントが弱気になっている」(日本企業)。 日本の需要は弱く、欧トレーダーによると、日本の需要家は長期契約玉の到着を遅らせるよう供給元に要請したり、DQT(下方数量弾力性)を行使したりして、需要の減少に見合うよう輸入量を減らしているようだ。事実、日本の都市ガス会社は需給が緩いことから、「在庫がずっと高めに推移している」という。同社は転売やスワップ取引こそ必要ものの、この状態が夏まで続く可能性があると見込んでいる。一方、現行の北東アジア着相場がターム玉の輸入コストを下回っているため、買い手のなかには値ごろ感を抱く向きもいる。ただ、日本の公益エネルギー企業をはじめとする北東アジアの需要家は、欧州に比べて在庫の貯蔵能力が限られているため、価格面だけを理由に在庫の積み増しに動くことは難しいと日本商社は指摘した。 中国は旧正月が明ける今週以降、安値拾いでの買いが見込まれている。LNGの消費が伸びる兆しは現時点で見られないが、国営会社が政府の意向に従ってLNGを優先して購入する可能性はあると市場関係者は指摘する。中国政府は電力不足に伴う計画停電が頻発したにもかかわらず、2010年代前半から脱炭素を目指して、再生可能エネルギーや天然ガスの積極的な使用を主導した経緯がある。そのため、足元の発電単価は石炭がLNGを下回っているものの、中国政府が脱炭素を念頭に、LNGの輸入増加に向けて急に方針を転換しかねないと市場関係者は警戒している。
【FOB中東・DES中東・DES南アジア】 インドでは、スポット相場の下落による値ごろ感を受けた新規の需要が浮上している。LNG価格は発電用の石油製品の価格と比べて割安な水準まで切り下がっており、「発電用燃料としてLNGの需要が強まっている」(トレーダー)。クウェート向けの需要がここへきて鈍化している。電力向けのガス需要が後退していることを受けたもの。これは、クウェート石油(KPC)がアルズール製油所(日量61万5,000バレル)製油所の能力を増強した結果、LSC重油の生産が増えたことが背景にある。供給が増えたLSC重油が発電用として消費され、LNGの需要を侵食した形となっている。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 独国営のSEFEは露ヤマルプロジェクト(年産1,650万トン)からのLNG調達を2040年12月末まで延長したようだ。契約は2024年末に切れる予定だったが、ロシア政府が延長を認可した。アルゼンチンのLNG需要は依然として低調で、2023年10月以降、カーゴの輸入はない。同国の需要は南半球で気温が低下する4~9月にほぼ限られており、現在は端境期にある。
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