LNG=2月5日~9日:カタールが長期契約値下げ
DES北東アジア相場は先週、期近の3月後半着が一時9.15~9.45ドルで推移した。潤沢な供給で上値が重いなか、中国が旧正月の休暇に入るため、商談が閑散とし、値動きが限定された。 日本の公益エネルギー企業は実需の弱さを理由にスポット調達を控え、長期契約玉の引き取りに注力している様子。JERAは武豊石炭火力発電所5号機(出力107万kW)の火災事故で「カーゴの転売を止めた可能性はある」(生産者)とみられていたが、今週、4月着1カーゴを手当てしたと伝えられた。北日本の公益エネルギー企業も、暖冬で暖房用のガス消費量が伸び悩んでいると指摘。北海道など一部の地域では道路の融雪を目的に、路面を加熱するロードヒーティング設備を設置しているが、同社によるとこの冬は降雪量が少なく、ロードヒーティング向けの熱源となるガス需要も鈍いという。 旧正月休暇を目前に控えていたものの、中国や韓国の需要家のなかにはスポット調達に関心を寄せる向きがいる。中国海洋石油(CNOOC)は1日応札の締め切りで開示していた買い付け入札を通じ、4月着と5月着の2カーゴを北東アジア着のスポット市況に対しディスカウント圏で手当てしたとみられていたが、日本の公益エネルギー企業によると、CNOOCは3月着の1~2カーゴも購入していたという。韓国向けでは、高炉大手POSCOやSK E&S傘下のプリズムエナジーなどの需要家に3月着の購入余地があるもよう。スポット相場がこのところ9ドル台に張り付いている一方、これらの買い手は突発的な事態で旧正月中に相場が急騰するリスクに備え、先週中に3月着の手当てを検討していたようだ。韓国需要家は「韓国やインドから買い手が出てくるため、北東アジア着相場が9.00ドルを割り込むのは難しい」との見方を示した。
【FOB中東・DES中東・DES南アジア】 国営カタールエナジーがインド国営ペトロネットと、ノースフィールド拡張プロジェクト出しの年間750万トンをDESベースの20年契約で締結した。価格はブレント原油市況の12.2%に対し27セントのコンスタント(切片)が加算された水準だったようだ。2028年に満了する現行の契約は、FOBベースで同12.67%に対し52セントのコンスタントと、新規契約は値下げされた格好だ。「今回は過去最大規模の大型契約なうえ、カタールエナジーはまだ多くの売り物を抱えているため、ペトロネットに対して譲歩したのだろう」(日本企業)との声が寄せられた。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 露アークティック2プロジェクト(年産1,980万トン)を運営するノバテックは中国向けのLNG販売を強化しているようだ。ノバテックはこのほど、北京でマーケティング部隊を立ち上げたとされる。アークティック2は昨年11月2日に米政府の制裁対象に加えられ、日本や欧州向けの販売が難しくなっている。「苦肉の策として、中国に頼らざるを得ないということだろう」(日本企業)と、市場関係者はみている。中南米ではドミニカ共和国の2月の予定輸入量は16万トンと、前月比で23.1%増加した。
|
|