アジア石油製品=7月11~15日:0.001%S軽油は続落、売り気多く
ガソリン 北東アジア積みガソリン(MR船型)の市況連動相場は軒並み下落した。需給の緩みが相場を下押した。インドネシアを中心とした東南アジアの需要が振るわず、8月積みカーゴの成約情報は聞かれにくい。複数の韓国石油会社が8月積みの販売に動いていたものの、成約は確認されていない。一方、中国では新たな石油製品の輸出割当量が通達されたため、石油会社が販売に乗り出しており、北東アジアの供給は増えている。中国海洋石油(CNOOC)などが8月積みの販売に動いているようだが、取引の情報は寄せられていない。8月中旬中国積み92RONガソリンについて、成約が可能な水準はFOBベースでシンガポール市況(92RON)に対しフラット近辺になりそうだとの指摘がトレーダーから聞かれる。
ナフサ 北東アジアの需要家によると、域内では8月後半着ヘビーフルレンジナフサが日本市況に対し10ドル台半ばのプレミアムで買われており、このところ下落している。ガソリン市況の反落が影響している。これに伴い、日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場もじきに下落するとみられている。一方、エチレンやその下流のポリオレフィン市況が低迷するなど、石化市場も振るわない状況が続いている。中国で再びロックダウンが実行される可能性が浮上していることから需要後退懸念が生じている一方、石油化学コンビナートの増設が相次いでいることで供給は潤沢。需給の緩みが顕著なことが背景として挙げられている。一部の韓国石化メーカーは、ナフサクラッカーの稼働率を70%台までさらに引き下げる見通しだ。日本勢のナフサクラッカーも今後、平均稼働率が90%を下回る水準まで減産すると国内の石化メーカーは見ている。
中間留分 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は続落。北東アジア圏内の売り気は非常に多く、相場は日に日に押し下げられている。韓国勢ではGSカルテックスが入札を通し、MR船型計2カーゴを販売した。価格は8月17~19日積みが同市況対比1.00ドルのディスカウント、8月26~28日積みが2.00ドルのディスカウントとなっている。現代オイルバンクも8月26~28日積み45万バレルと8月29~31日積み30万バレルの販売入札を15日に締め切った。日本勢でもENEOSが8月上旬積みの販売を進めている。一方、中国石油天然気が7月積みとして少なくともLR船型で2カーゴ以上をシンガポール向けに販売する予定。また欧州向けとしてもLR船型で1カーゴ程度を販売する見通しだ。8月積みについても中国中化がLR船型で販売を進めている。
重油 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は、シンガポール市況(0.5%S)に対し30.00~40.00ドルのディスカウントへと下落している。供給増を受けた。韓国では、バンカー市場へのVLSFO供給が増えており、VLSFO価格が急速に落ち込んでいる。これを受け、VLSFO基材となる0.5%S重油にも余剰感が出始めている。一方、台湾では、フォルモサ石油化学(FPCC)が8月積み低硫黄重油をFOBベースでシンガポール市況(0.5%S)に対し40.00ドル程度のプレミアムで販売していたもよう。また、台湾中油(CPC)も、8月積み低硫黄重油の販売入札を実施している。このところ低硫黄重油のクラックマージンが改善したことで、石油会社は低硫黄重油の供給を増やしている。そのためマージンが再び縮小している。
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