アジア石油製品=7月4~8日:ガソリンは上昇も東南アジアの買い気弱い
ガソリン 韓国積みガソリン(MR船型)の市況連動相場は上伸。シンガポールの先物市場で、8月と9月限の月間価格差が5.50ドル近辺の期先安に推移しているなか、需要家は月間価格差のリスクを回避するため、8月上旬積みカーゴに買い気を強めている。ただ、需要が振るわず、相場の基調は弱い。このところ、インドネシアやベトナムなどの東南アジアからスポットの買いが乏しく、トレーダーはカーゴの調達に積極的ではない。インドネシア国営プルタミナはターム品の引き取りを増やしており、スポットの買いが少なくなっている。東南アジアの需要減で、シンガポール市場でも買いが減退し、市況は弱含んでいる。中国では6日、政府が新たに石油製品の輸出割当量合計500万トンを通達した。このため、中国による8月積みの輸出が増える可能性が高まっている。
ナフサ 北東アジアの需要家によると、日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場は、日本市況に対し11.00ドル程度のプレミアムまで強含んでいるという。市況強含み要因としては、中国需要の回復やヘビーグレード市況の堅調さが挙げられている。一方、8月後半着ヘビーフルレンジナフサ取引では、韓国勢がカタール品をCFRベースで日本市況に対し20ドルのプレミアムで買い付けたもよう。ルワイス出し品もCFRベースで同市況に対し6ドルのプレミアムで購入されたようだが、品質が劣るようだ。 装置関連では、一部の韓国勢がナフサクラッカーの稼働を引き上げるとの観測が聞かれる。このところライトナフサのプレミアムが低迷し、割安感が強まっているため、ナフサの調達を増やす可能性があるという。一方、日本勢はこれまで大きな減産を実施してこなかったものの、エチレン装置の稼働を今後引き下げるとの見通しが浮上している。ナフサに対するオレフィンマージンが100ドル台前半にとどまっているうえ、オープンスペック・ナフサ相場に割高感が出ているためだ。
中間留分 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は急騰した。買い気の強さが相場を押し上げた。シンガポールの先物市場で、8月と9月限の月間価格差が大幅な期先安に推移しているため、需要家は月間価格差のリスクを回避したいとの意向から、8月上旬積みカーゴについて買い気を強めている。そのなか、台湾のフォルモサ石油化工(FPCC)が1日、入札を通じて8月7~11日積みの75万バレルを販売した。価格はFOBベースでシンガポール市況(0.001%S)に対し4.00ドルのプレミアムと伝えられた。この成約価格に基づいて、8月上旬台湾積みMR船型の成約が可能な水準はFOBベースで同市況対比2.50ドル近辺のプレミアムに推移している。日本では、ENEOSが8月積みとして少なくともMR船型4~5カーゴの販売を予定している。同社の仙台製油所(日量14万5,000バレル)が先週末に稼働を再開しているため、輸出余力が高まっている。また、コスモ石油も8月にMR船型1~2カーゴの販売余力があるようだ。
重油 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は変わらず。韓国では、S-オイルの第2常圧蒸留装置(トッパー)が11日までの予定で定修入りしており、同社の低硫黄重油の生産が絞られているため、韓国積み市況も下支えされているもよう。同社はまた、9月にも残渣油脱硫装置などの定修を1カ月程度予定しており、秋ごろからも低硫黄重油の供給が限られそうだ。 日本着0.3%S重油(MR船型)の市況連動相場は変わらず。日本では元売り各社の低硫黄重油の供給余力が乏しくなっていることから、複数の電力会社が発電用0.3%S重油の輸入に意欲をみせている。北海道電力、東北電力、北陸電力が8月積み玉に買い気を示しているもよう。そのうち1社は買付け入札を開示しているものの、対象や数量など詳細は明らかではない。一方、国内では高硫黄重油の荷余り感は強いようだ。
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