LNG=6月27日~7月1日:サハリン2、供給懸念が再び強まる
露サハリン2プロジェクトに対する供給懸念が再び強まった。ロシア政府は6月30日、プロジェクトの保有者であるサハリンエナジーが担う同プロジェクトの事業主体を、ロシア政府が新たに設立するロシア企業に変更するとともに、サハリンエナジーの資産全てを新会社へ無償譲渡する決定を下した。サハリンエナジーには、露ガスプロムに加え、2月に事業からの撤退を表明している英シェルの他、三井物産、三菱商事が出資している。ガスプロムを除く株主は今後、1カ月以内に新会社の株式取得に同意するか否かを決め、ロシア政府に申請する必要に迫られているが、仮に申請しても認められない可能性もある。日本企業は「ロシア資本の新会社はロシア法に基づき運営される見通しであり、サハリン2プロジェクトは実質的にロシアの国営プロジェクトに位置付けられることになる」とした。JERA、韓国ガス公社(KOGAS)や台湾中油(CPC)などがサハリンエナジー傘下のサハリンエナジーインベストメントと結ぶ長期契約も、サハリンエナジーの資産の一部として新会社へ移管される見通しだが、新会社が今後、供給を保証するか、また既存の契約条件が維持されるかと言った点を含め、全てが不透明な状況。同企業は「ロシア政府は今後、サハリン2と同様に、ロシアの他のLNGプロジェクトにも同じような措置を講じる公算が大きい」と伝えた。
【FOB中東、DES南アジア、東南アジアおよび中東】 オマーンLNGは6月30日締めで、オマーンプロジェクト(年産1,050万トン)出しに関する売買契約の関心表明書(EOI)の提示を募った。数量は明らかではないが、対象は2025年から10年間。交渉水準について「ブレント原油価格の13~14%となるのではないか」(市場関係者)との声が聞かれた。2025年に一部生産が開始する予定のカタールのノースフィールドガス田の拡張プロジェクト出しは、ブレント原油価格の12.5%前後で契約となった。足元のLNGの需給引き締まり感が強いため「オマーンLNGによるオマーンプロジェクト出しの契約価格はカタール出しより高値になる公算が大きい」(トレーダー)と指摘した。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 チリでは、豪クイーンズランドカーティスプロジェクト(QCLNG、年産850万トン)出しを積載したDFDE型「マランガスアキレス」号(容量17万4,000立方メートル)が6月24日、国営GNLチリが運営するキンテロ基地(年間受入能力250万トン)に入着した。GNLチリによる4月のLNG受入れは3カーゴにとどまっていたが、その後、5月に6カーゴ、6月もこれまでに5カーゴ引き取った。さらにGNLチリは7月初めにも、長期契約を結んでいる英シェルから2カーゴを受け取る見通し。
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