アジア石油製品=5月30日~6月3日:軽油が上伸、欧州の供給懸念を受けて
ガソリン 北東アジア積み92RONガソリン(MR船型)の市況連動相場は強含んだ。供給の引き締まりが、相場を押し上げた。シンガポール市場では依然として在庫が低いため、トレーダーはカーゴの調達意欲を強めている。一方、中国では依然として新しい石油製品の輸出割当量が通達されていないようで、中国品の供給薄が続いている。そのなか、シンガポールの先物市場で7月と8月限の月間価格差は大幅な期先安で推移しているため、7月前半積みカーゴに買い気が集まり、相場は強含んでいる。 韓国積み91RONガソリン(SR船型)の市況連動相場も上昇。一部の日本商社が買い気を強めている。日本商社が在庫補充の需要を抱えているものの、国内での調達が厳しく、韓国品の購入を進めている。
ナフサ 北東アジアの市場関係者によると、日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場は、日本市況に対し6.00ドル程度のディスカウントで推移しているという。一方、ヘビーフルレンジナフサ相場は、「じきに日本市況に対し10ドル台のプレミアムへ上昇する」と域内のトレーダーはみている。石化製品の基材となるオープンスペック品は、石化製品のマージン悪化からナフサクラッカーの減産が著しく、需要が後退しているのに対し、ヘビーフルレンジ品は市況が堅調なガソリンの基材として米国や中東でも需要が伸長しているためだ。さらにロシア品のアジア向け流入も減少し、需給引き締まり感が増している。市場関係者によると、日本でヘビーフルレンジナフサの最大需要家であるENEOSは、月間平均25万トンを購入しており、出光興産、コスモ石油と続くという。太陽石油や富士石油も購入している。
中間留分 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は軒並み上昇した。7月上旬積み商談がスタート。シンガポール先物市場は大幅なバックワーデーションが形成されている。大幅な月間価格差のリスク回避を目的に7月上旬積み品への買い気が高まっている。韓国では7月積みの実売買はまだ下火ではあるが、複数の石油会社が今週から来週にかけて新規の販売入札を開示する見通しだ。一方、台湾では早々に売りの動きが出ている。フォルモサ石油化工(FPCC)が販売入札を通して、6月28日~7月2日積みの75万バレルをシンガポール市況対比6.20ドルのプレミアムで販売した。30日、欧州連合(EU)は一部パイプラインでの供給を除くロシア産原油および石油製品の輸入禁止で合意した。このため、欧州では軽油をはじめとする石油製品の供給不安が高まっている。今後は欧州向けの買い気が浮上する可能性があり、相場は底堅いとの見方が広がった。
重油 韓国積み0.3%S重油(MR船型)の市況連動相場は変わらず。韓国では、現代オイルバンクが第1常圧蒸留装置の定修を終え、今週中に正常稼働に戻る予定だという。すでにオンスペック品が確認されており、低硫黄重油の供給も今後回復する見通し。一方、台湾では、台湾中油(CPC)は2日、7月着0.3%S重油4万トンの買付け入札を締め切った。結果はいまのところ明らかとなっていないものの、交渉水準はCFRベースでシンガポール市況(0.5%S)に対し40ドル以上のプレミアムとなっている。アジアの主要市場であるシンガポールで、低硫黄重油市況(0.5%S)が高騰している影響で、高値での商談となっているようだ。また、台湾では気温が上昇し電力需要も堅調という。
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