アジア石油製品=5月23~27日:0.3%S重油は底堅い、堅調な電力需要で
ガソリン 北東アジア積み92RONガソリン(MR船型)の市況連動相場は急落した。先物市況の期先安を嫌気し、6月下旬積みカーゴについて買いが低迷している。また、中国から6月積みの輸出が増える兆しが強まっていることも、買い気を削いでいる。既報のとおり、中国では先週末、臨時で石油製品の輸出割当量350万トンを決めている。ただ、国内の在庫が積み上がっているため、中国石油会社は輸出意向が強まっているという。
ナフサ 北東アジアのスポット市場では、日本勢や台湾勢による7月前半着品の買い気が確認されている。昭和電工は、26日にオープンスペック・ナフサを日本市況に対し4~5ドルのディスカウントで購入していたもよう。また、フォルモサ石油化学(FPCC)は、ピュアヘビーナフサを日本市況に対し20ドル台のプレミアムで買い付けていたようだ。一方、太陽石油は、ヘビーナフサの調達に動いており、交渉水準は日本市況に対し1けた台後半のプレミアムとなっているもよう。それに対して、韓国のハンファトタルは、7月1~3日デサン積みライトグレード3万3,000トンを6月前半着評価でFOBベースでの販売入札を実施し、27日に締め切った。今のところ結果は聞かれず。同社は少し前までナフサクラッカーをフル操業していたものの、このところのオレフィン市況の悪化によって装置稼働を引き下げたことで、ナフサの余剰玉が発生してしまい、売りに動いていたとみられる。 中東積みナフサ(LR船型)の市況連動相場は上伸。供給薄によってFOBベース中東積み玉のプレミアム感が増していることを受けた。そのなか、カタール国営石油会社(QP)は、6月積みナフサを中東市況に対し20ドル台半ば~後半のプレミアムで販売していたもよう。
中間留分 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は下落した。買い気の減退が相場を下押した。シンガポールの先物市場で6月と7月限の月間価格差は期先安を続いているなか、6月下旬積みカーゴについて月間価格差のリスクが高いことから、トレーダーなどは買いを抑えている。また、欧州など域外向けの需要も後退している。欧州地域では需給の引き締まりが緩和され、アジアから欧州向けのアービトラージが閉じている状況だ。 北東アジア積み0.05%S軽油(MR船型)の市況連動相場も軟調。需要不振が相場を下押した。ベトナムでは製油所の稼働が順調なようで、同国向けの需要が低迷しているという。また、中国の東南沿海地域では禁漁期に入っていることから、海上取引用の軽油需要も振るわない状況だ。
重油 韓国積み0.3%S重油(MR船型)の市況連動相場は横ばい。韓国では、新たな電力向け低硫黄重油の販売は確認されなかった。同国では、複数の製油所の定修が続いている。一方、S-オイルは、5月の0.5%S重油のバンカー向け供給量が月間平均最大15万トンの半分強である8万トン程度にとどまっている。同国内および日本向けなどの発電用途の低硫黄重油の供給余力も、乏しくなっている可能性がある。日本では、4~9月期の電力向け低硫黄重油の需要が前年同時期比で2倍に上ると見込まれている。ただ、国内最大手のENEOSは、現在の供給量を1.4倍程度までしか増やせないとしている。国内の製油所は、トラブルや定修が相次いでおり、平均稼働率は80%を下回っているもよう。低硫黄重油の需給にはタイト感が漂う。
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