アジア石油製品=5月16~20日:ガソリンが上伸、供給の引き締まりで
ガソリン 北東アジア積み92RONガソリン(MR船型)の市況連動相場は上伸。供給の引き締まりが相場を押し上げた。また、フレートの下落もFOBベースの相場を支える材料となった。中国の石油会社は今年第1回目の石油製品の輸出割当量をほとんど消化している状況。そのうえ、政府から新しい輸出割当量についても不透明なため、中国石油会社は6月積みの販売に動けない。韓国では国内の需要が増え、石油会社は6月積みのスポット輸出余力が極めて限られているようだ。 韓国では19日、S-オイルのオンサン製油所で第2アルキレーション設備から火災が発生し、第2残油流動接触分解装置(RFCC)などが稼働を停止した。これにより、同社のガソリン生産量はMR船型2カーゴ分程度が減少しそうだとの声が聞かれる。
ナフサ 北東アジアのスポット市場では、韓国勢による7月着品の買い気が旺盛となっている。LG化学は、7月1~15日着玉2万2,500~2万7,500トンの買付け入札を18日に締め切り、落札に至ったもよう。YNCCは、7月前半着ナフサ(パラフィン比率70%)2万5,000トンとバーレーン品を除く中東積みライトナフサ(パラフィン比率88%)および7月後半着フルレンジナフサ2万5,000トン(パラフィン比率78%)の合計3カーゴの買付け入札を開示している。また、ハンファトタルも、7月前半着ナフサ(パラフィン比率70%)の6月前半着評価での買付け入札を実施している。北東アジアの市場関係者は、韓国勢はLG化学などナフサクラッカーの稼働率を80%へと引き下げているものの、割安感からナフサの購入に動いているのではとみている。一方、日本勢では、三菱ケミカル旭化成エチレンが7月前半着オープンスペック・ナフサのカーゴ到着45日前評価での買付け入札を17日に開示したが、その後に取り下げている。ただ、同社はじきにグレードをパラフィン比率の高いナフサに変更して再入札を実施すると目されている。
中間留分 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は軟化している。シンガポール先物市場のバックワーデーションを理由に引き続き先安が意識され、6月下旬積みへの買い気は乏しい。一方、石油会社は引き続き採算性の観点から軽油の販売量を維持している。需給が緩んでおり、相場は軟化傾向だ。韓国の石油会社による販売が続いている。SKエナジーは販売入札を通して6月20~22日積みをシンガポール市況対比2.80ドルのプレミアムで販売した。また、6月9~11日積みを対象にする入札も実施していた。
重油 韓国積み0.3%S重油(MR船型)の市況連動相場はもち合い。韓国では、バンカー向けVLSFOの価格が高騰しており、VLSFOの基材となる0.5%S重油の価格より韓国積みFOBベースでも200ドル超高く推移している。背景には、同国でのVLSFO最大供給者であるSKエナジーによる供給が、定修要因のために引き締まっていることがある。これを受けて、韓国石油各社は、VLSFOに比して割安な低硫黄重油カーゴでの販売意欲がなくなっているもよう。一方、日本では、既報の東北電力に加え、複数の電力会社が液化天然ガス(LNG)の代替としての0.3%S重油の買い気を示していると、日本の市場関係者は伝えている。ただ、実際の引き合いは、夏場の気温上昇が本格化する7~8月ころになりそうだ(同)という。
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