アジア石油製品=5月9~13日:軽油が軟調、欧州向けアービトラージの縮小で
ガソリン 北東アジア積み92RONガソリン(MR船型)の市況連動相場は上昇。シンガポールの先物市場で、6月と7月限の月間価格差は大幅な期先安となっていることから、需要家は月間価格差のリスクを回避するため、6月前半積みカーゴについて買い気を強めている。また、中国から6月積みカーゴも輸出が増えそうになく、北東アジアの供給は引き続き引き締まりそうだ。中国では石油製品の需要が振るわず、石油会社は製油所の稼働を引き下げているうえ、各社とも石油製品の輸出割当量も不足している。
ナフサ 北東アジアのスポット市場では、韓国勢や日本勢による6月後半着品の買付けがみられる。ロッテケミカルは、6月16~30日着ナフサ(パラフィン比率70~78%)2万5,000トンを5月24~31日着評価で日本市況に対し5ドルのディスカウントで購入したもよう。また、丸善石油化学は、6月後半着ナフサ(パラフィン比率80%)を日本市況に対し20ドルのプレミアムで調達したとの情報が寄せられている。6日ごろに日本の石化メーカー1社が、6月後半着ライトナフサを日本市況に対し1けた台後半のプレミアムで輸入していたようだ。相場反発の要因として、日本ではナフサクラッカーの定修明けが増えてきており、需要が回復し始めていることが挙げられる。さらに、ロシア産ナフサの供給減少も市況押し上げ材料となっているとみられている。
中間留分 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は大幅に上昇。買い気の高まりを反映した。米西海岸向けアービトラージが再び拡大している。また、欧州向けであればLR2型であれば採算が見合う状況という。域外向けの引き合いが旺盛と合って、北東アジアの相場は底上げされた。 一方、北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の相場は弱含み。需要減が相場を下押した。フレートの高止まりなどを背景に、アジアから欧州向けのアービトラージが閉じているため、域外向けの需要が減退している。
重油 韓国積み0.3%S重油(MR船型)の市況連動相場は変わらず。韓国地域暖房公社(KDHC)は、来冬の暖房用途向け在庫積み上げのため、6月着0.3%S重油の買付け入札を5月中に実施する計画があるようだ。一方、SKエナジーは、ウルサン製油所(日量84万バレル)の第2常圧蒸留装置(日量11万バレル)と残渣油脱硫装置(日量4万バレル)を定修のため、それぞれ6月下旬および5月末までの予定で停止している。このため同社の製油所全体の平均稼働率は82%前後にとどまっている。同社は精製マージンの好調な中間留分の生産に注力し、低硫黄重油の供給は絞られている。
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