アジア石油製品=9月13~17日:軽油が強含み、需要増への期待感で
ガソリン 北東アジア積みガソリン(MR船型)の市況連動相場は変わらず。ただ、トレーダーの買いが増え、相場は底堅い。新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでいるため、経済の回復に伴い需要が戻るとの見通しから、トレーダーがカーゴの調達に積極的なようだ。今週、中国海洋石油(CNOOC)が10月8~9日積みとして92RONガソリン(酸素含有率最大0.5%)MR船型を販売したことが判明した。価格はFOBベースでシンガポール市況(92RON)に対し1.70ドルのプレミアムと伝えられた。一方、ベトナムではズンクアット製油所(日量13万バレル)が稼働を停止する可能性が浮上している。新型コロナの感染拡大によりロックダウンが続いているため、同国の石油製品の需要が大幅に減少しているのが背景にあるようだ。
ナフサ 北東アジア着市況について、「やや軟調だが、中東積み相場は堅調に推移するだろう」との見方がある。背景として、「アジア向けナフサの年間供給量は、CFRベース取引分が5,000万トン程度に対し、FOBベース取引分が2,500万トン程度にとどまるため、FOBベースの中東積み玉によりプレミアムが付加される」という。一方、クウェート国営石油会社(KPC)は、10月に12月起こしターム契約の交渉を開始する。年間の市況を考慮すると、「交渉水準は、先日のカタール国営石油会社(QP)による10~12月期ターム価格である中東市況に対し25~28ドルのプレミアムよりやや低い水準で展開されるだろう」と中東市場の関係者はみている。 日本では、ENEOSの鹿島製油所および出光興産の千葉製油所でそれぞれパラキシレン(PX)装置で火災が発生し、稼働が停止している。ただ、いまのところ供給には大きな支障はみられないもよう。日本の市場関係者は、「PX装置の停止が長引けば、PXやその原料となる混合キシレン(MX)の需要が後退し、基材となるガソリンやナフサの市況にも重石となる可能性はある」と指摘した。
中間留分 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は先週から底上げ。需給緩和感が解消に向かうとの観測が強材料となった。ロックダウン解除をにらみ、一部のトレーダーが豪州向けなどとして北東アジア品の買いを強めている。一方、中国からの出物難、北東アジア石油会社が製油所の定修を予定するなど、域内の供給が引き締まりつつある。このため10月積み玉の成約水準が切り上がっている。
重油 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は軟化。供給増を受けた。韓国石油会社によると、「シンガポール向け韓国積み玉の成約可能水準は、シンガポール市況(0.5%S)に対し25.00ドル前後のディスカウントで推移している」とみられている。背景には、バンカー向けVLSFOの余剰玉が、基材となる0.5%S重油のカーゴとして安値で売買交渉されていることが挙げられるもよう。また、「現在の韓国積み市況はシンガポール積み0.5%S重油相場の影響を受けておらず、別の市場だ」(同)との見方も聞かれた。
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