アジア石油製品=5月31日~6月4日:0.5%S重油が下落、LCO需要減で余剰感増す
ガソリン 北東アジア積みガソリン(MR船型)の市況連動相場は横ばい。北東アジアの石油会社は一先ずターム契約者向けの供給を優先しているため、スポットの販売に動いている気配はない。ただ、中国から7月積みの輸出が減少しそうだとの見通しが聞かれる。中国では、内需が増えている上、国内での販売マージンも良好なため、石油会社は輸出を抑えている。このため、6月積みの輸出が大幅に減少し、7月積みでも続きそうだとの見方が寄せられる。北東アジアでは足元、台湾フォルモサ石油化工(FPCC)が7~12月積みとして93RONガソリン(0.005%S)のターム販売を交渉している。対象数量は25万バレル型で、6月10日までターム契約を決着する予定のようだ。
ナフサ 北東アジアのスポット市場では、韓国勢による7月後半着品の買い気が旺盛だ。LG化学は、パラフィニックナフサを日本市況に対し14ドルのプレミアムで購入していたもよう。また、GSカルテックスはヘビーフルレンジナフサを日本市況に対し11ドルのプレミアムで買い付けたようだ。さらに、YNCCはヘビーフルレンジ玉の買付け入札を実施している。韓国の市場関係者は「フレート高の影響で、割高な米国玉の流入などがアジア市況を押し上げている」という。
中間留分 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は韓国積みが軟化した。北東アジア域内の需要の乏しさを背景に、買い気は乏しく相場は軟調となっている。米国西海岸向けアービトラージも安定しない中では妥当な水準との指摘がある。 中東積みジェット燃料(LR船型)の市況連動相場は横ばい。ただし、需要低迷を受けて相場の基調は弱い。主要な持ち込み先である欧州では、新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着きつつあるものの、「航空便の長距離路線の回復が遅れているため、思ったほどジェット燃料の需要が伸びていない」(市場関係者)という。このため中東やインド品を調達する動きも盛り上がりを欠いている。
重油 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は軟化。供給過剰感を受けた。中国向けライトサイクルオイル(LCO)への課税政策の影響で、LCOの代わりに韓国積み0.05%S軽油の供給が増えている。また、それを基材としてVLSFOの生産も増加基調だ。さらに、韓国石油会社3社は製油所の高稼働を続けており、供給余剰感は強まっている。これらを背景として、「韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は、シンガポール市況(0.5%S)に対し20.00ドル程度のディスカウントへと下落している」と韓国石油会社は伝えている。SKエナジーは、ガソリンなどの精製マージンが好調なことを受け、残油流動接触分解(RFCC)装置をフル稼働している一方、常圧蒸留装置(CDU)の稼働は上がっておらず、VLSFOやその基材となる0.5%S重油の供給は増加していない。
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