LNG=5月24~28日:東北電など夏場に向け在庫積み上げの動き
日本では、夏場に向け複数の電力会社がスポット購入に動いた。梅雨明け直後の電力予備率の低下を危惧する電力会社は、政府からの要請を踏まえ、在庫の積み上げを進めた。JERAの姉崎火力発電所1号機と2号機(ともに出力60万kW)を始め、老朽化の影響で稼働を停止している設備を再稼働させたとの情報は寄せられなかったが、電力各社は夏場の電力供給に不足が生じないよう設備のメンテナンス等を前倒しで進めている。JERAは5月中旬までに6~7月着カーゴを少なくとも計2カーゴスポット購入しているようだ。また6~7月着を5カーゴ前後スポット購入していた東北電力は、8月11~15日に新潟基地(年間受入能力850万トン)へ到着する1カーゴを対象とした買付け入札を開示し、応札を28日に締め切った。この他、中国電力もスポット需要を抱えているとされる。 日本の電力会社の中では唯一、関西電力が供給余力を抱えスポット販売を続けている。関電はこれまでに6~7月着計3カーゴを販売していると見られるが、新たにオーストラリアパシフィックLNG(APLNG、年産900万トン)で7月19日に船積みするカーゴを対象とした販売入札を27日に締め切った。関西電力は、5月までに複数のスポット玉を買い付けていたうえ、美浜原発3号機(出力82.6万kW)が6月末までに稼働を再開することが確実になったことから、一部LNGが余剰になったと見らる
【FOB中東、DES南アジア、東南アジアおよび中東】 エジプト国営ガス公社(EGAS)が5月25日に締め切った同国イドゥクプロジェクト(年産720万トン)出しを対象とした販売入札は、FOBベースで2カーゴが落札された。6月3~4日出しの1カーゴを欧トレーダーのビトールが9.07ドルで落札。6月25~26日出し1カーゴを同じく欧系ガンボーが9.17ドルで購入した。
【FOB大西洋圏・DES欧州・その他地域】 ブラジル国営ペトロブラスは5月入り後、6~7月着を少なくとも4カーゴ購入した。成約価格の多くは蘭TTF天然ガス市況の7月限対比で1けた台のディスカウントとなった。ブラジルでは隣国ボリビアからのパイプラインガスの供給減を受けて慢性的なガス不足に陥っており、冬場の需要期入りも相俟って、発電所向けのLNGの需要が高まった。 |
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