3社共同=水管理による田のメタン排出削減、フィリピンで実証へ
クボタ、クレアトゥラ(東京都港区)、東京ガスは、田から発生するメタンを水管理によって削減する実証事業をフィリピンで実施している。3社が取り組むのは、間断灌漑(AWD:Alternate Wetting and Drying)と呼ばれる技術を利用したプロジェクト。新興国の温室効果ガスの排出削減を支援して一部を日本の削減分とみなす「二国間クレジット制度(JCM)」への登録を民間主導で目指す。 実証事業では、フィリピンの農家に種子選定や土壌・水管理の方法などについて講習を実施し、AWDの普及や農家の収益拡大、炭素クレジット創出に必要なデータ取得に向けた方策を検証し、課題やリスクを確認する。実証の結果を踏まえ温室効果ガスのひとつであるメタンを削減する方法論を確立し、民間JCMプロジェクトの登録とカーボンクレジット(炭素クレジット)の創出を実施する計画。 3社は昨年9月にフィリピン北部のパンガシナン州で実証事業を開始した。今年4月まで実施する同実証には約600戸の農家が参加している。対象の水田は約1,300ヘクタール。 AWDは水稲の栽培期間中、水をいったん抜いて田の表面を乾燥させた後、再度水をためるという「潅水制御」を複数回反復する水管理。田の土壌にはメタン生成菌が存在し、水を張った状態では稲わらなどの有機物を餌にメタンを発生させるという。AWDで一時的に田から水を抜くことにより、水を張ったままの状態と比べ土壌内に多くの酸素が拡散し、生成菌の活動が低下しメタンの排出量が減少するとされる。
(間断灌漑・AWD、イメージ) 図の出所: クボタ、クレアトゥラ、東京ガス 発表資料(2月28日)
|