大ガス=再エネ水素とバイオガスのメタン合成で実証事業
大阪ガスは4月27日、大阪市、大阪広域環境施設組合と協力してメタン合成(メタネーション)の実証事業を今年度に開始すると発表した。水素とバイオガスによるメタン合成から配管輸送、厨房機器などによる利用までの供給網(サプライチェーン)確立を目指す。水素は再生可能エネルギー由来を使用し、バイオガスは生ごみを発酵させて製造する。同事業は環境省の「既存のインフラを活用した水素供給低コスト化に向けたモデル構築実証事業」に採択された。事業期間は2025年度まで。
生ごみ1トンあたり5Nm3/hのメタンを 実証事業は、再エネ由来水素と地域の未利用バイオマスを活用したエネルギーの地産地消モデル。合成メタンで天然ガスを代替し、二酸化炭素(CO2)の排出量低減を図る。 実証では、大阪広域環境施設組合が運営する大阪市此花区にあるごみ焼却工場(舞洲工場)の敷地内で、再エネ由来の水素と生ごみ(1日あたり1トン単位で)から得られるバイオガスから、5 Nm3/h(*)規模のメタンを製造する計画。メタネーション設備は、大ガスが保有する微生物によるメタネーション技術(バイオメタネーション)を導入した設備と、日立造船のメタネーション設備を使う。 水素はDaigasグループが保有する再エネ電源を用い水電解装置により製造。一方、生ごみは、ライフコーポレーションが保有する大阪市内のスーパーの食品残渣を活用する。製造したメタンをガス調理機器や給湯器などで利用し、安定的なメタン製造・利用が可能であるかを確認する。
万博でメタン製造の後、近畿などで普及も 2024年度からは装置を大阪・関西万博会場に移設する。再エネ由来水素と会場内で発生する生ごみ由来のバイオガスからメタンを製造し、会場内の熱供給設備やガス厨房で利用する予定。万博の期間中は、大気中のCO2もメタネーション原料として用いることで、メタン製造量を増加させることも検討中という。 実証事業が終了した後は、メタネーション設備の規模拡大を図る。2030年までに再エネ由来水素と生ごみ由来バイオガス中のCO2から合成メタンを製造するシステムを近畿圏中心にごみ焼却工場や食品加工工場向けに導入することを視野に入れる。
*: 1時間あたりのノルマル立法メートル(Nm3)。標準状態での気体の流量
図の出所: 大阪ガス 記者発表
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