伊藤忠= CO2固定化の技術で豪企業と協業締結
伊藤忠商事は6日、二酸化炭素(CO2)の固定化技術を活用する事業で、豪州のミネラル・カーボネーション・インターナショナル(MCI)と協業契約を結んだと発表した。MCIの開発したCO2固定化技術により、製鉄工程で生じる副産物(スラグ)や、火力発電所で生じる石炭灰、カルシウム、マグネシウムを含む廃コンクリートなどに、CO2を吸収させ、炭酸カルシウム(*1)や炭酸マグネシウム(*2)、シリカ(*3)などといった化学品を製造することが可能という。伊藤忠は今後、日本でMCIの実証プラント候補地の紹介と選定を実施し、商用化を目指す。加えて、MCIの技術で製造された炭酸カルシウムなどや、これらを使用したセメントやコンクリートなどの活用、MCIの技術がCO2削減に有効な顧客企業の開拓なども手掛ける構え。製造された炭酸カルシウムなどは、セメントやコンクリート、建設用資材などの原材料となることから、伊藤忠は幅広い用途での活用を見込んでいる。伊藤忠は将来的なMCIへの資本参加や、日本以外での事業展開も検討する。 CO2固定化技術は、脱炭素化の有望な一手段として、鉄鋼や電力業界などを中心に注目が集まっている。伊藤忠によると、MCIが開発した技術では、従来、必要とされていたCO2の分離と回収の工程(大気からCO2のみを分離し回収)を省き、高い経済性を持つ製品を製造できるという。さらに、MCIの技術では、CO2をスラグや石炭灰に固定・付着させる工程で、化学薬品を使う必要もなく、様々な用途での利用が見込まれる。MCIの技術はこれまでに、豪州政府とニュー・サウス・ウェールズ州政府が支援するパイロットプラント(実用化に向けた試験的工場)での実証実験を通じて、高い経済性を伴う技術として豪州内で高い評価を受けている。 *1天然・合成ゴムの補強剤、肥料や農薬の原料、食品添加物などとしても利用 *2肥料、飼料、プラスチックや強瀬ゴム、接着剤、紙などの添加剤、食品加工・添加などでも利用 *3乾燥剤、消臭剤、飼料、化粧品、食品添加物などに利用 |