バイオバンカー市況=廃食油在庫増で急落 16日
バイオ混合率最大24%のVLSFO価格の気配値はロッテルダム渡しで733.00~808.00ドル、シンガポール渡しで790.00~870.00ドルといずれも先週から下落した。原料となる廃食油の価格下落を映した。足元ではバイオ燃料の供給が需要を上回っているため、価格が急騰する様子も見られない。
大手廃食油取り扱い企業が、日本をはじめアジア各国からバイオ燃料の原料となる廃食油の輸入を進めている。この結果、廃食油在庫がロッテルダムやシンガポールで増えているという。使用済み食用油(UCO)を原料としたFAME(脂肪酸メチルエステル《UCOME》を含む)ベースのバイオ燃料は足元トン当たり1,200ドルで推移しているもよう。また、長期契約でのバイオバンカー売買が活発化するなか、多くの供給業者が受渡し手数料などを引き下げ販促を仕掛けている。おおむね相場はLNGバンカー価格と同水準という。大型コンテナ船、中型のバルカーを運航する多くの欧州系船会社が、シンガポールでバイオバンカーを調達する機会をうかがっているとの声も聞かれた。
廃食油の需給状況は国ごとに大きく異なる。最大輸出国の中国では、内需の供給も満たせているものの、日本では国内の供給が逼迫している。一方、持続可能な航空燃料(SAF)のみならずバイオディーゼル、バイオバンカーの販売にも力を入れる大型港を擁する国々では、廃食油の在庫積み増しに注力しているという。各国には廃食油回収および精製技術の技術改革が求められ、バイオバンカーを含むバイオ燃料の安定供給が急務という。
販売業者によると、グリーン・デジタルコリドー(Green and Digital Corridor)に関する協定(MoU)を結ぶシンガポール港湾局とロッテルダム港湾公社が、世界に先駆けて多様な燃料油の供給を進めている。なお、ロッテルダム港では23年夏からメタノールバンカーを通常販売する予定だ。