バイオバンカー市況=LNGバンカー価格を逆転、廃食油の熾烈な取り合いで 9日
バイオ混合率最大25%のVLSFO価格の気配値はロッテルダム渡しで1,030.00~1,105.00ドルと先週から下落した。一方、シンガポール渡しで1,100.00~1,175.00ドルと先週から反発した。ロッテルダムではLNGバンカー価格も下落しており、結果的にバイオバンカー価格がLNGバンカー価格を上回った。市場関係者によると、バンカー油を含めバイオ燃料は需給が引き締まっており、バイオバンカー価格も下げ渋っているという。原料となる廃食油が、優先的に持続可能なジェット燃料(SAF)用として供給されているためだ。
バイオ燃料は、大きく分け3世代に分類されている。第1世代(1G)は、砂糖や植物油等の可食部分を原料として製造されたバイオエタノールやバイオディーゼル(脂肪酸メチルエステル:FAME)を示す。第2世代(2G)はセルロースや廃食油など非可食部分を原料としたセルロース系バイオエタノールとなる。第3世代(3G)は草木や微細生物、都市ごみや廃食油油脂を原料とし、水素化処理などで改質する。足元では、2Gと3Gが主流で、その多くがSAFへの供給に集中している。バンカーの場合一般的に2Gが主流という。2Gのバイオ燃料の熾烈な取り合いが、足元のバイオバンカー価格の高止まりを招いている。
市場関係者によると、SAFもバイオディーゼルもバイオバンカーも、買い手に応じた特別な精製を用いて供給しており、コスト低下まで時間がかかると指摘した。供給先においては、バイオ燃料の地産地消が可能な地域に限られており、売り手がいかにバイオ燃料の調達ラインを確保しているかが焦点との声も聞かれた。