尿素輸入動向=22年2月輸入減も中国産が大幅増、輸入単価は下落
財務省が3月25日に公表した通関貿易統計によると、肥料や尿素水アドブルーなどの原料になる尿素の輸入は22年2月が2万1,062トンと、前月から7,904トン(27.3%)減少した。ただ、中国からの輸入が大幅に増加するなどしたため、輸入平均単価はトンあたり95,950円と、過去最高を更新した前月からは15,884円(14.2%)下がった。
マレーシアからの輸入が9,923トンと、前月から1万846トン(52.2%)減少したことが全体の輸入を押し下げた。また、輸入先多角化の一環で前月にまとまった数量が輸入されたインドネシア産が途絶えた。「品質が悪くアドブルーの製造に使用できない」(アドブルーメーカー)ことが、インドネシア産の輸入減少につながったとみられる。
一方、昨年10月から輸出規制が強まる中国からの輸入は6,612トンだった。前月から3,731トン(129.5%)の大幅増加となった。「年明けから当局の法定検査を通過した中国産尿素が入り始めた」(商社)、「中国メーカーから売り込みが激しかった」(アドブルーメーカー)との声が聞かれた。
また、輸入先の多角化も進んだ。これまで実績のなかったアラブ首長国連邦(UAE)からの輸入があった。数量は230トンと少ないが、輸入単価はトンあたり60,442円と、他国と比べ圧倒的に安かった。今後の輸入先として注目されそうだ。このほかラトビアやトルクメニスタンからの輸入を模索する動きも見受けられた。
2月の輸入平均単価はトンあたり95,950円だった。過去最高を更新した前月からは15,884円(14.2%)安と大幅に下落し、3カ月ぶりに10万円を割り込んだ。中国やマレーシアなど主要生産国からの輸入単価が8万円台まで下がったことが影響した。1月にかけて積み上げられた在庫が放出されるなど国際需給が一時的に緩和したことが背景にあるとみられる。
ただし、今後も相場が下がり続けるかは不透明だ。2月24日のロシアによるウクライナ侵攻で天然ガスや石炭価格が急騰、採算の悪化で欧州では3月に入り生産抑制に動くメーカーが出た。また、欧米による経済制裁で最大輸出国ロシアからの輸出も滞り、国際需給に再び逼迫感が出ている。
リム情報開発が発行する週刊『クリーンエネルギー』によると、尿素の日本着価格は3月に入り再びトンあたり10万円を突破。ドル高円安が進み、25日時点では11万7,000円近辺まで上昇した。落ち着きを取り戻したかにみえた尿素の品薄懸念が再び頭をもたげている。
※『CROSSVIEW軽油』第96号(22年3月21日発行)でアドブルー関連記事「22年度交通局アドブルー入札は不調相次ぐ、東京・川崎は納期短縮」を掲載しています。