尿素市場動向=ウクライナ危機で市況急騰、中東積み過去最高に接近
尿素水アドブルーや肥料などの原料となる尿素の国際市況が先週、急騰した。
ロシアによるウクライナ侵攻で尿素の原料となる天然ガス、石炭価格が高騰。採算の悪化で欧州の主要メーカーが尿素の生産量を減らす方針を示すなど供給不安が広がった。また、最大輸出国ロシアが制裁に対する報復措置として輸出を一時的に止めたと市場に伝わると、需給逼迫懸念が急速に高まった。
エジプトや中東積み(FOB)尿素に欧州トレーダーのショートカバーの買いが集まり、相場が押し上げられた。リム情報開発が15日に発行した週刊『クリーンエネルギー』によると、エジプト積み価格は11日時点でトンあたり1,000ドルを超え過去最高を突破。アドブルー用に日本の輸入もある中東積みも同900ドル台前半と、昨年12月に付けた過去最高水準に迫った。
また、アジア地域にも供給不安が波及しており、「中国の一部メーカーが見積もりの提示を手控えている」(商社)との指摘も出た。
一方、足元は天然ガス、石炭価格の上昇が一服し、15日時点ではやや値位置が下がっている。尿素市況の下げ要因になる可能性がある。
※『CROSSVIEW軽油』第94号(22年3月7日発行)でアドブルー関連記事「日産化学がアドブルー再値上げ、LNG高騰で国産尿素も原料高」を掲載しています。
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