尿素輸入動向=22年1月は輸入多角化で急回復、東南アジアが増加
財務省が2月25日に公表した通関貿易統計によると、肥料や尿素水アドブルーなどの原料になる尿素の輸入量は22年1月が2万8,966トンと、過去最低に落ち込んだ前月から1万8,309トン(171.8%)増加した。前年同月も6,500トン(28.9%)上回り、平時の水準を回復した。
中国の輸出規制で輸入量が激減したことを受け、輸入先の多角化が進んだ。新たな輸入先として候補に挙がっていたインドネシアから1,000トンの輸入があった。また、代替として前月から輸入が始まったベトナムは2,401トンと、前月の2倍以上に膨らんだ。主に肥料用として定期的に輸入があるマレーシアは2万769トンと、前月の3倍近くに増えた。
一方、輸入先として注目されていた欧州やロシアからの新たな輸入はなかった。「価格が割高で国内で買い手がつかない」(商社)ことが阻害要因となっているという。
サウジアラビアからの輸入量は1,143トンとほぼ前月並みにとどまった。アドブルーの製造に適したサウジ産尿素を新たに調達しようとする動きはあるが、日本に振り向ける量をすぐに増やすのは難しいようだ。
尿素の輸出制限を継続する中国からの輸入量は2,881トンだった。ほぼゼロまで落ち込んだ前月からは回復したが、前年同月の3割未満にとどまっている。
輸入量に回復傾向がみられる一方、輸入価格は前月から続伸し最高値を更新した。トンあたり11万1,834円と、前月から1,764円(1.6%)上がった。前年同月の2倍以上だ。国内のアドブルーなど尿素水需給の逼迫に対応するため、緊急的な輸入が必要だったとみられる。
一方、輸入量の増加に伴い徐々に輸入価格も落ち着きをみせ始めた。リム情報開発が発行する週刊『クリーンエネルギー』(3月1日発行)によると、尿素の日本着価格はトンあたり9万9,085円と、3カ月ぶりに10万円を割り込んだ。
※『CROSSVIEW軽油』第93号(22年2月21日発行)でアドブルー関連記事「日本液炭アドブルー再値上げ、安定供給巡り攻防戦は新ステージへ」を掲載しています。