日本LPガス協会=グリーンLPガス研究会最終報告書を発表
日本LPガス協会が、経済産業省や大学研究者などと共同で立ち上げたグリーンLPガスの生産技術開発に向けた研究会(以下、グリーンLPガス研究会)が4月下旬、最終報告書を発表した。報告書では、通算5回の研究会で得たLPガスのグリーン化を実現するための各生産技術の特徴と課題、今後の方向性についてまとめている。
グリーンLPガスとは、生産から消費の過程で二酸化炭素(CO2)の排出ゼロを達成するLPガス(液化石油ガス)を指す。日本が2050年カーボンニュートラル社会の実現に向け歩みを進めるなかで、LPガスもグリーン燃料のひとつの選択肢として将来の安定利用に繋げるべく、産官学が連携し、スピード感を持った技術開発を進める必要があるとの認識から、昨年10月に研究会が立ち上がった。
これまでの会合では、グリーンLPガスの製造方法に関し、4つの技術が取り上げられた。合成ガスからLPガスの成分を生産する「プロパネーション」と「ブタネーション」、また、バイオマス資源が原料となる「バイオLPG」と「バイオDME(ジメチルエーテル)」だ。プロパネーションとブタネーションは、GTLの製造にも用いられ、石油産業では汎用性の高いフィッシャー・トロプシュ法(FT法)で生産する方法や、メタノールを経由して生産する方法が開発されている。しかし、これらはいずれもまだ基礎研究の段階だ。バイオLPGについては海外で先行事例が多く、商用化されている技術があるものの、原料となるバイオマス資源が地域ごとに限られているために、LPGのグリーン化の全てを担うのは困難と指摘されている。
研究会が最終報告書で示したグリーンLPガス実現への方向性は、まずLPガスにバイオDMEを混合したものをグリーンLPガスとして世に送り出し、プロパネーションやブタネーションなどの新たな合成技術を並行して育てていく、という内容だ。DMEは、低い圧力で容易に液化するという性質がプロパンやブタンに似ていることから、LPGの代替燃料としての有効性が注目され、バイオマス資源からの製造方法やLPGへ混合した際の使用方法に関する研究が進められてきた。生産から消費までの技術が確立しているバイオDMEを混合することは、LPガスの低炭素化を実現し、カーボンニュートラルを目指す社会の移行期に対応可能な「現実解」とグリーンLPガス研究会は結論づけている。
グリーンLPガス研究会は最終報告書の発表をもって活動を終了するが、今後は研究会で発表を行った企業や研究所と、具体的な協業の道を探る方針だ。また、経済産業省によるグリーンイノベーション基金の活用も視野に入れている。グリーンLPガスの実現に向け大きな一歩を踏み出したLPガス業界の次なる一手に、注目が集まっている。
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