アジア石油製品=7月8~12日:ガソリンは急伸、日本から買い気が浮上
ガソリン 日本から買いが浮上 需要増の見通しから、ノンオキシー品の市況が急騰した。アジアから米西海岸向けのアービトラージが開いており、同地域向けの買いが増えそうだ。そのうえ、日本では製油所のトラブルが頻繁に発生しており、輸入需要も浮上している。スポットの取引では9日、台湾のフォルモサ石油化学(FPCC)が入札を通じて8月14~18日と18~22日積みの93RONガソリン25万バレル型2カーゴを販売した。そのうち、前者は日本の出光興産が買い付けた。中国石油天然気(ペトロチャイナ)も8月3~5日に千葉出しの92RONガソリンMR船型を出光興産に販売した。また、出光興産は7月末~8月初旬積みとして韓国品などを物色していた形跡がある。日本では製油所のトラブルに加え定修明けの遅れも重なり、元売りは8月積みの輸出余力が極めて限られている。
ナフサ 強弱材料が混在、9月前半着市況 日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場は弱含んだ。8月後半着品の需要の弱さが相場を押し下げた。市場関係者によると、韓国勢の購買は8月前半着と比べて弱かった。日本勢も8月着はターム比率が高く、スポット市場での買い気が弱かった。 9月前半着の市況は強弱材料混在。中東の一部で原油処理量が落ちており、供給が減少する可能性がある。一方で、ナフサクラッカーの稼働率が上がらないため、石化向けナフサ需要が伸び悩むことが考えられる。また、9月はガソリン需要期終盤とあり、ガソリン向けの需要も落ちるとの見方が示された。
中間留分 ジェット燃料は軟調、買い気が乏しく 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は下落。買い気が乏しく相場は軟調だ。中国の栄盛石化は今週、8月3~5日積みのMR船型1カーゴ販売した。このカーゴは高引火点、低硫黄分の高スペック品とあって一般的なカーゴよりもやや割高で成約された。ただ、米国西海岸向けのアービトラージも閉じたままとあって、高スペック品は一般品比でのプレミアムが付きにくいもよう。また、豪州や香港といった主要な買い手の需要は、7月末の多量の中国品の売り物によって満たされていることも弱材料だ。韓国ではSKエナジーが11日、8月3~5日積みのMR船型1カーゴを販売した。 北東アジア積み軽油(MR船型)の市況連動相場は上昇。MR船型フレートの下落がFOBベースの取引価格を押し上げたと伝えられた。市場関係者によると、石油製品の輸送にVLCC船が使用される例が増えつつあり、油送船の需給緩和に寄与している可能性が指摘された。また、北東アジアの製油所で稼働率調整やトラブルが起きており、生産調整が進んだ点も支援材料になり得るという。
重油 アジアでLSFOの余剰感解消されず 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は下落。シンガポールを中心とするアジア市場では、低硫黄重油の余剰感が解消されないようだ。市場関係者によると、クウェート石油は入札を通じ、7月後半積み13万トンのVLSFOを販売したもよう。価格はFOBベースで同市況に対し8ドル程度のディスカウント、買い手はBBエナジーとの情報が伝えられた。 京浜のVLSFO相場は大幅上昇。需給の引き締まりを受けた。ENEOS、コスモ石油は9日、7月渡しの新規受注を停止した。ENEOSは仙台、鹿島両製油所の直接脱硫装置(RDS)が停止、根岸製油所では詳細は不明だが不具合が発生、千葉製油所では荷役機械(ローディングアーム)の一つが故障、出荷バースの混雑を避けるため受注を既存分に制限している。なお、同社はスポット、長期契約を問わず、全国的に新たなオーダーは一切受け付けないという。コスモ石油は千葉製油所の第2トッパーの定修が6月25日に終了したものの、現在定修中の第1トッパーの再稼働が7月下旬まで遅れる見込みだ。さらに、中京では昭和四日市石油四日市製油所が、6月に発生したガス漏れの影響で供給量を制限している。代替需要がコスモ石油四日市製油所に集中した結果、早めの月内販売終了となったようだ。現時点では、出光興産千葉事業所の販売枠内での対応に限られており、商社、トレーダーは唱えの水準を切り上げざるを得ない状況だと言う。
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