アジア石油製品=7月1~5日:0.001%S軽油市況下落、需給の緩みを反映
ガソリン 米向けアーブ拡大の兆し、メキシコが買い付け進める 北東アジア積み92RONガソリン(MR船型)の市況連動相場は週間を通じて変わらなかった。スポットの取引は引き続き閑散とした。北東アジアの石油会社は輸出計画の作成に取り組んでいるようで、売りは確認されず。台湾のフォルモサ石油化学(FPCC)は8月積みの販売余力があるものの、現段階では具体的な船積み時期などを決めていないことから売りには出ていない。中国では、主要な輸出元である中国石油天然気(ペトロチャイナ)などは7月積みの販売を終えたばかりで、8月積みの商談には早い段階。 需要面では、アジアから米西海岸向けのアービトラージが開く兆しが見られ、メキシコ向けの買いが聞かれた。シンガポール市場ではメキシコ国営石油会社(ぺメックス)が7月下旬積みとして92RONおよび95RONガソリンのMR船型をそれぞれ買い付けていたという。
ナフサ ガソリン市況の上昇が支援材料、稼働抑制は継続 日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場は日本市況に対しカーゴ到着30日前評価で10ドル台中盤のプレミアムを維持している。ガソリン市況がこじっかりし始めており、基材として用いられるナフサの相場を支えていると指摘された。ガソリン需要期に入っているが、製油所トラブルが散見され、ガソリン相場は押し上げられている。 一方で、ナフサクラッカーの稼働率抑制が相場の上値を抑えている。台湾1社は8月、新たにナフサクラッカー1基の稼働を停止する。韓国の石化1社も稼働引き下げの可能性を示唆した。
中間留分 軽油、韓国の売り気の強さ顕著 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は横ばい。欧州向けのアービトラージが拡大した。欧州では製油所のトラブルやストライキにより、精製量が低下しているもよう。一方で米国向けのアーブは閉じたままだ。米国国内の製油所は高稼働を維持しているほか、MR船型のフレートも高止まりしている点が背景とみられる。 持続可能な航空燃料(SAF)生産を手掛ける米国のランザジェット社は、三菱UFJ銀行が同社に出資するとの方針を発表した。ランザジェット社は、エタノールからSAFを製造する設備の拡張工事などに資金を充てる方針だ。 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は下落。需給の緩みを映した。韓国からは7月積みの売り気が浮上。SKエナジーは7月19~21日、7月25~27日積みの0.001%S軽油MR船型2カーゴの販売入札を開示した。韓国政府は7月1日より油類税の控除額を37%から30%へと削減した。韓国国内ではかねてより軽油の需要が軟調だったが、さらに販売が鈍化するとの見通しがある。市場関係者からは「韓国出しの売り気の強さから域内の余剰感が増している」(市場関係者)との指摘も出た。中国でも国内需要が振るわないことから在庫が積み上がっている。石油会社は7月積みとしてMR船型の販売を試みているとの情報がある。 アジアから欧州向けのアービトラージは閉じている。欧州の相場は需要の悪さから軟調に転じた。6月までは中東やインド品が欧州向けに供給されていたものの、7月以降はアジアに向け販売量が増加する可能性が指摘される。
重油 域内外からの供給潤沢、荷余り感強まる 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は同水準で推移した。市場関係者によると、7月もしくは8月積みで、韓国の売り手が低硫黄重油(LSFO)のスポット販売を検討しているもよう。ただし、中国や日本など近隣の石油会社やトレーダーなどからの買い気はみあたらない。日本では製油所トラブルが続くものの、「国際市場で調達するほど逼迫していないようだ」(韓国石油会社)。 ナイジェリアのダンゴテ製油所(日量65万バレル)出しのLR船型5~6カーゴが、7月にシンガポールに到着するとみられている。アジア市場で荷余り感が強まるとの観測が聞かれた。
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