アジア石油製品=6月24~28日:ナフサは堅調、欧州から供給減の見通し
ガソリン 中国の輸出減少の見通し 北東アジア積み92RONガソリン(MR船型)の市況連動相場は変わらず。売り買いとも乏しく、スポットの取引は盛り上がりを欠いている。そのなか、中国から7月積みの輸出量が減少しそうだとの見通しが広がっている。ガソリンの精製マージンが縮小を続けているなか、同国では製油所の低稼働に伴い在庫圧力もないようで、石油会社は輸出に消極的な姿勢だ。中国石油天然気(ペトロチャイナ)が7月下旬にシンガポール着として92RONガソリンMR船型を販売した。同玉は大慶製油所出し。一方、アジアの最大輸入国であるインドネシアを中心とする東南アジアではスポットの買いが長らく低迷している。フィリピンでも国内出荷が遅れ、プレーヤーの輸入意向は低いという。
ナフサ 相場の基調は強く、欧州から供給減の見通し 日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場の基調は強い。欧州出しの8月アジア着品の数量が減少し、供給逼迫につながっていると指摘された。欧州では7月受け渡しのナフサ需要が堅調となっており、8月アジア着としてアジアへ玉を仕向ける余力が一時的に低下していると指摘された。市場関係者によると、欧州の石化メーカーの間で6月末のナフサ在庫の水準を押し下げる動きが見られていたという。 ただ、ナフサ市況の高まりを受け、石化原料となるLPGとの格差が拡大傾向にあり、需要がLPGへ流れるとの観測も再び浮上。日本の石化1社は現在、9~10月着のブタンの調達を検討中だ。
中間留分 ジェット相場は小幅続落、米需給の緩みで買い気乏しく 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は軟化。アジア品の主な買い手である米国では夏季の需要期に入っているが、在庫の高止まりが続いている。堅調なフレートも手伝ってアジアからのアービトラージは安定しない。中国では栄盛石化が入札を通し、7月22~24日積みのMR船型1カーゴの販売を行った。品質は高引火点、低硫黄と高スペック。しかし、米向けの引き合いが限られることから、一般品とのプレミアムは縮小しているようだ。 韓国から持続可能な航空燃料(SAF)の輸出が進んでいる。現代オイルバンクは6月までに丸紅を通し植物油由来で製造したSAFを日本向けに輸出した。このSAFは丸紅エネックスの千葉ターミナルに持ち込み、全日本空輸に供給した。S-オイルも4月よりSAFの本格的な生産を開始した。現代オイルバンク、S-オイルはいずれもSAFの製造方法に「Co-processing」を採用している。既存の製油所の精製設備に、石油由来の原料と植物油や廃食油を混ぜ合わせて投入することで、バイオ由来の石油製品を製造することができる。既存設備を使用することで、大規模な改修工事とそれに伴う設備投資を抑えられる。 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は下落した。フレート高と買い気を落ち着きが相場の重荷となったとみられる。市場ではMR船型のフレートが上昇しているため、FOBベースでの取引価格が抑えられやすい環境となっている。また、7月積みの商いが進み、買い手も購買を終えつつあるようだ。供給面では主要輸出国の中国で、石油会社が7月積みの販売を本格化させる見通し。
重油 ナイジェリア製油所で小火、重油市場への影響は限定的 市場関係者によると、ナイジェリアのダンゴテ製油所(日量65万バレル)で小火が発生した。既に鎮火しており、精製設備そのものに影響はないもよう。重油精製も通常どおりで、欧州やアジア向けなどの出荷に遅れはみられないという。26日には一時、同製油所からの出荷に影響が出る可能性があるとの見方が広がり、重油市況が押し上げられる場面もあったと伝えられるものの、27日市場ではすでに沈静化している。
|
|