電力=4月15~19日:前週比で東西ともに下落、気象動向が弱材料に
4月15~19日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週比で東西ともに下落。天気に恵まれる日が多かったほか、気温も過ごしやすい日が多くなり、需給緩和感が強まったため、価格の下押し圧力が強まった。また、連系線の作業の影響により、エリアによって値差が大きくなる動きもあった。 東西のメインエリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、15日が5.18円、16日が5.21円、17日が6.61円、18日が5.64円、19日が4.02円の東高西低だった。
燃料相場は、前週比でLNGがと石炭が上昇し、原油が小幅安となった。 北東アジア市場のLNGスポットは、週後半時点(4月18日)で期近の24年5月着品がmmBtuあたり10ドル台後半となり、前週末(4月12日)から1.5ドル程度の大幅上昇となった。欧州の天然ガス相場が騰勢を強め、北東アジア市場のLNG相場も連動した。中東やウクライナの地政学リスクをはじめ、米国やノルウェーのガス供給が引き続き低調となり、相場の強材料となった。経済済産業省が17日に公表した、4月14日時点の発電用LNGの在庫は161万トンとなり、前週と同水準だった。前年4月末時点の244万トン、過去5年平均の202万トンをいずれも大きく下回っている。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、週後半時点で24年5月積みがトンあたり141ドルとなった。前週末から8ドル程度の上昇となった。ガス価格の上昇に連動した。 原油相場は、19日午後時点でWTIの24年5月物がバレルあたり84ドル台半ば、ブレントの24年6月物が88ドル台後半で推移した。前週末から1.2~1.3ドル程度の下落となった。米国の原油在庫が市場予想を上回る増加幅となったことや、米国の利下げの動きが遅れるとの見方が強まったことなどが弱材料となった。ただ、19日午前にイスラエルがイランに報復攻撃をしたとの報道が流れたことを受け、原油相場はWTIが86ドル台、ブレントが90ドル台まで急騰する局面もあった。
週を通じた実勢高値は、15日に北海道から北陸の5エリアで付けた15.50円となった。一方、実勢安値は連日付けた0.01円となり、15日は北海道、東北、関西から九州の4エリア、システムプライス(SP)、16日は関西から九州の4エリア、17日は関西から九州の4エリア、SP、18日は北陸から九州の5エリア、19日は西日本6エリアとSPでそれぞれ付けた。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が前週比3.34円安円の8.06円、東北が同2.89円安の8.07円、東京が2.14円安の10.11円、中部が同3.88円安の7.29円、北陸が同4.89円安の6.15円、関西、中国、四国が同3.24円安の4.16円、九州が同3.13円安の4.17円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週比8.2%増の11億2.473万3,160kWh、買い札が同4.4%減の7億9,191万1,240kWhとなった。約定量の週間平均は同0.7%増の6億3,508万8,820kWhだった。
4月15~19日の9エリアの電力需要は、102億8,724万5,000kWhとなり、前週4月8~12日の107億2,586万2,000kWhから4.1%減少した。なお、曜日を合わせた前年の4月17~21日の需要実績は106億1,521万4,000kWhで、減少率は3.1%となった。
4月15~19日のJEPXの先渡市場では、約定がなかった。
4月15~19日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。出来高は1,032枚(103.2MW)だった。
4月15~19日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。出来高は976MWだった。
4月第4週の電力スポットは、気象動向の変化で上げ下げが大きくなりそうだ。週前半は全国的に雨模様の予報となっており、太陽光発電がほぼ期待できないため、昼間価格を押し上げる材料になるとみられる。一方、週後半は晴れ間の広がる地域が多くなるため、太陽光の増加で昼間価格は圧迫されそう。ただ、最高気温は関東から九州にかけて、週後半に25度以上の日が続くため、冷房需要が強まった場合、価格動向にも影響が生じる可能性がある。さらに、イスラエルによるイランへの報復攻撃で週末に原油相場が急騰しており、燃料相場の動向によっては電力スポットにも波及する可能性もありそう。
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