アジア石油製品=2月19~23日:需給緩和でガソリン市況軟化、ナフサにも影響
ガソリン 92RON相場は下落、需給の緩みを反映 北東アジア積み92RONガソリン(MR船型)の市況連動相場は下落した。北東アジアで多数の石油会社が3月積みの販売に乗り出した。中国では、中国中化(シノケム)が3月中旬に泉州出しとしてオキシー品の92RONガソリンのMR船型を販売したとの情報が寄せられた。価格はFOBベースで同市況対比1.40ドルのディスカウントと伝えられた。韓国のSKエナジーや台湾中油(CPC)なども玉を売りに出した。加えて、欧州向けの輸送リスクが懸念され、中東やインド品が引き続きアジアへ流れており、供給に潤沢感がある。一方、フレートが高止まりしているなか、東南アジアの需要が減退しているうえ、域外向けの輸出も厳しい状況。
ナフサ 固定価格は下落基調、ブレント対比のクラック縮小 日本着オープンスペック・ナフサの市況連動相場は、日本市況に対しカーゴ到着30日前評価で14.50~15.50ドルのプレミアム、カーゴ到着45日前評価で9.00~10.00ドルのプレミアムで推移している。日本の石化1社は入札を通じて、4月前半着オープンスペック2万5,000トンをCFRベースで同市況比8.00ドル前後のプレミアムで購入した。 オープンスペックの固定価格の基調は弱い。もともと石化向け原料の需要は回復しきっていないなか、喜望峰ルートが確立されたため、これまで相場を支えていた紅海の航行リスクの影響が小さくなっている。ガソリン市況安も弱材料で、ブレント対比のクラックは一時、50ドル台のナフサ高にまで縮小した。 ただし、一部の石化メーカーは「このまま相場が下落し続けると考えていない」ようだ。欧米でナフサの需給が引き締まっているとの情報があるためという。北東アジア向けのアーブ品が減少した場合、供給減から相場が反発する可能性が指摘された。
中間留分 シンガポール政府、26年からSAF使用を義務化 北東アジア積みジェット燃料(MR船型)の市況連動相場は下落した。豪州や米国向けのショートカバーを終えた業者が増えており、足元の買い気は抑えられている。この中で韓国のSKエナジーが入札を通し3月14~16日積みMR船型1カーゴを販売した。価格はFOBベースでシンガポール市況対比50セント程度のディスカウント。また、韓国の石油会社1社は3月積みとしてすでにMR船型1カーゴを米国西海岸向けとして販売済み。多くの石油会社は採算性の観点から軽油の精製と販売に重きを置いており、スポット市場での販売余力は乏しいようだ。 シンガポール政府は2026年以降、同国を出発するすべての航空便に持続可能な航空燃料(SAF)の使用を義務付ける。同国の運輸相Chee Hong Tat氏が述べた。同国は26年からSAFの導入目標1%を目指しており、世界的な脱炭素に向けた動きに合わせて30年までに3~5%まで引き上げる計画だ。これに伴い、26年以降、政府は航空会社および搭乗者にSAF課税を導入する予定。税率はSAF価格の予測や使用量に基づいて決定するという。 シンガポール運輸省の試算によると、シンガポールからバンコク、東京、ロンドンへの直行便のエコノミークラスの航空券が約1ドル値上がりする可能性があるという。 中東積み0.001%S軽油(LR船型)の市況連動相場は同水準で推移した。市場関係者によると、引き続き中東やインド品の商談水準は、FOBベースで同市況に対し3.00ドル程度のプレミアムとの声が聞かれた。ただし、欧州の堅調な需要を受けて引き続き相場の基調は強い。中東やインド、北東アジアなどから欧州に向かう船舶が喜望峰経由のルートを取るケースが増えており、欧州の到着が遅れている。このため欧州で軽油価格が上昇し、中東やインド市場でも価格に押し上げ圧力が台頭しているとの見方も出ている。
重油 アジア市場で強弱材料が混在 韓国積み3.5%S重油(MR船型、380cst)の市況連動相場は前週から横ばいとなった。韓国積み品のスポット商談は引き続き浮上せず。シンガポールを中心とするアジア市場では強弱材料が混在しており、相場は方向感を探っているとの見方が伝えられた。域内ではロシア品の流入が減っているため、このところ供給の余剰感がやや後退しているとの指摘が聞かれる。一方、バンカー油向けなど需要は依然として弱含みが続いている。
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