電力=2月12~16日:電力スポットは前週比で急落、春の陽気で需要減
2月12~16日受け渡しの電力スポット価格24時間の週間平均は、前週比で東西ともに急落。暖冬の影響が続くなか、春の陽気となったことで需給の緩みが一段と顕在化し、電力スポットも下押し圧力が強まった。15日には、関東や北陸、四国で「春一番」が吹き、東京都心ではこの日、最高気温が4月下旬並みの21.1度を記録した。 東西のメインエリアである東京と関西の電力スポットの24時間平均の値差を見ると、12日が2.29円、13日が1.26円、14日が1.86円、15日が0.53円、16日が1.46円の東高西低だった。
燃料相場は、前週比でLNGと石炭が軟化、原油が上昇した。 北東アジア市場のLNGスポットは、週後半時点(2月15日)で期近の24年3月着品がmmBtuあたり8ドル台半ばとなり、前週末(2月9日)から0.8ドル程度の下落となった。旧正月で中国や韓国などの需要家による買い気が乏しいなか、春の陽気が進んだことで先行きの需給緩和感が強まり、相場も一段安となった。経済済産業省が14日に公表した、11日時点の発電用LNGの在庫が206万トンとなり、前週から23万トン減少した。前年2月末時点の248万トン、過去5年平均の213万トンをいずれも下回った。 豪ニューキャッスル積みの一般炭相場は、週後半時点で24年3月積みがトンあたり122ドル台後半となった。前週末から3ドル程度の下落となった。ガス価格の下落に連動した。 原油相場は、16日午後時点でWTIの24年3月物がバレルあたり78ドル台前半、ブレントの24年4月物が82ドル台後半で推移している。いずれも前週末から1.5ドル程度の上昇となった。中東情勢の緊迫化が引き続き強材料となった。さらに、石油輸出国機構(OPEC)が13日に公表した月報で24年の世界の石油需要見通しを据え置いた一方、OPEC加盟国を除く24年の生産量の見通しが前月から下方修正されるなど、世界の需給が引き締まりやすくなるとの見方も買い材料となった。
週を通じた実勢高値は、16日の北海道~四国の8エリアとシステムプライス(SP)で付けた15.00円。一方、実勢安値は0.01円となり、12日は北陸~九州の5エリアとSP、13日は全9エリアとSP、14日は北海道と東北、15日は九州でそれぞれ付けた。 エリア別に24時間の週間平均を見ると、北海道が前週比3.20円安の8.11円、東北が同3.04円安の8.12円、東京が同3.11円安の9.07円、中部が同2.12円安の8.84円、北陸が同2.78円安の8.01円、関西と中国が同2.71円安の7.79円、四国が2.68円安の7.75円、九州が同3.03円安の7.42円だった。 売買入札量の週間平均は、売り札が前週比17.2%増の12億9,851万3,700kWh、買い札が同9.6%減の8億7,609万3,700kWhとなった。約定量の週間平均は同1.1%増の7億2,253万5,200kWhだった。
2月12~16日の9エリアの電力需要は123億9,092万6,000kWhとなり、前週2月5~9日の141億8,876万2,000kWhから12.7%減少した。なお、曜日を合わせた前年の2月13~17日の需要実績は140億2,980万kWhで、減少率は11.7%となった。
2月12~16日のJEPXの先渡市場では、約定がなかった。
2月12~16日の東京商品取引所(TOCOM)の約定結果は下記表のとおり。
2月12~16日の欧州エネルギー取引所(EEX)の約定結果は下記表のとおり。187件の約定があった。
2月第4週の電力スポットも上値の重い展開が続く見通し。週前半は、東北南部から九州にかけて最高気温が20度前後で推移する見通しで、春めいた陽気が続くとみられる。ただ、天気は全国的に雨雲の多い週になる見通しのため、太陽光発電は限定的となり、第3週に散見された0.01円など極端な安値は回避されそう。
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