アジア石油製品=3月29日~4月2日:ガソリンが強含み、複数製油所火災で買い気が増加
ガソリン 北東アジアの92RONガソリンの市況は強含み。需要増の見通しが相場を押し上げた。アジア域内の製油所で火災事故などが相次いでいることで、需要増が期待され、相場は強含んでいる。製油所の計画外停止を背景に、日本の大手元売りがガソリンの輸入に踏み切っている。同元売りが、4月韓国積みの91RONガソリンSR船型を複数カーゴ調達したとの情報が寄せられる。供給面では、大連西太平洋石油化工(WEPEC)が今週、4月末~5月初め大連積みの93RONガソリンMR船型を販売したようだ。 また、東南アジアの需要が増えていることから、シンガポール市場ではガソリン市況が強含んでいるようだ。
ナフサ 北東アジアのスポット市場では、日本勢による5月中旬着のパラフィン比率の高いナフサの買付けが確認された。北東アジアの市場関係者によると、「パラフィン比率が非常に高いため割高な成約水準となったが、実際の日本着ナフサの市況連動相場が高騰したわけではない」という。背景には、ENEOSの和歌山製油所が火災によって稼働を停止しており、国内向けナフサ供給に引き締まりがみられることで、割高なスポット品調達の必要性が生じたようだ。 韓国のLG化学は、デサン工場のナフサクラッカー(年産23万トン)をトラブルのため28日から停止している。稼働再開は4月10日になる予定。北東アジアの石油会社によると、「ナフサ1カーゴ程度の需要損失にはなるだろう」とみられている。 一方、スエズ運河で座礁したコンテナ船が離礁し通航が再開したものの、ナフサ運搬船が滞留しており、ナフサ4カーゴが現地にとどまっているもよう。そのうち1カーゴはSKエナジー向け、残り3カーゴは日本向けだという。
中間留分 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場では韓国積みの玉を扱う一部の業者の中に4月積みの消化に苦戦するケースがある。スエズ運河のコンテナ船座礁を背景にフレート水準が上昇しているとあって、主要向け先のひとつである豪州向けの販売が困難となっているもよう。3月29日に発生したインドネシア国営プルタミナの製油所火災に関しても、同社や他業者が中間留分を物色しているとの情報はなく、影響は多くはないとの見方もある。むしろ、引き続き中国から多量の売りが想定されるため、相場の上値は5月以降も抑えられるとの指摘が多かった。 一方、ENEOSが手当てを検討し始めているという。同社の和歌山製油所で3月29日昼、流動接触分解装置(FCC)付近を火元とする火災が発生。現在も全装置の稼働を停止しており、再開時期は未定となっている。これにより、ENEOSはトッパー15基のうちの6基、計73万7,700バレルが停止しており、停止率は39.5%に上っている。これを背景にショートカバーを検討している可能性が高そうだ。
重油 インドネシア産LSWRではインドネシア国営プルタミナのバロンガン製油所(日量12万5,000バレル)で3月29日に大規模火災が発生し、同社は火災の広がりを防ぐために製油所の稼働を停止した。復旧時期は今のところ未定。同製油所はデカントオイル(DCO)を供給している。市場関係者によると、「プルタミナは供給に問題はないと発表しており、製品在庫も潤沢とみられているが、低硫黄重油の基材系の供給に支障が生じてくれば、アジアの低硫黄重油市況の押し上げ材料となる可能性がある」とみられている。
|
|