アジア石油製品=8月24~28日: 韓国積み0.5%S重油は急上昇、バンカー価格の高騰を受け
ガソリン 北東アジア積みガソリン(MR船型)の市況連動相場は弱含んだ。需要不振が相場を下押した。このところ、インドネシアやベトナムを中心とした東南アジア諸国からスポットの買いがほとんど見られない。その中、大連西太平洋石油化工(WEPEC)が24日、入札を通して9月20~22日大連積みの92RONガソリンMR船型を販売した。価格はFOBベースでシンガポール市況(92RON)に対し95セント近辺のディスカウントと伝えられた。
ナフサ 北東アジア域内では、ガソリン需要が伸び悩んでおり、ガソリン基材となる重質ナフサが敬遠され、軽質ナフサの需要へとシフトしているようだ。また、ナフサに対するエチレンのクラックマージンが300ドルを下回っている。市場関係者によると、「石化メーカーにとっては限界利益が大幅に縮小しているが、クラッカーの稼働を下げる状況には至っていない」という。さらに、ナフサに対する液化石油ガス(LPG)価格の割安感は平均約40ドル程度まで縮小している。アジアの石化メーカーによると、「ナフサからLPGへの切り替えは採算性が大幅に縮小しているものの、派生するエチレンやプロピレン市況がまだ採算が取れるため、石化メーカーはまだLPGを好んで買うだろう」との見方が聞かれた。
中間留分 北東アジア積み0.001%S軽油(MR船型)の市況連動相場は切り下がった。需要が乏しく買い手の想定する相場水準が一段安となっている。トレーダーからは、これから商談が始まる韓国10月積みの売りアイデアについて、FOBベースでシンガポール市況に対し1.00ドルのディスカウント売りアイデアが伝えられていた。一方、三菱商事が100%出資するPetro Diamond Australiaが2014年より手掛けていた豪州での軽油販売事業に関し、市場関係者からは同社が豪州のタンクをすでに売却したとの観測が伝えられた。同社は2014年以降、輸送用および鉱山事業向けに軽油の販売を行ってきたが、以前より採算の悪化を指摘する声が出ていた。
重油 韓国積み0.5%S重油(MR船型)の市況連動相場は上昇。需給引き締まりを受けた。韓国ではバンカー価格が高騰しており、バンカー向けVLSFOの基材となる0.5%S重油の価格も急上昇している。背景として、同国では雨期が長期化したことや新型コロナウィルスの感染者数が再び大幅増加していることによって、韓国石油会社各社が製油所稼働を引き下げており、0.5%S重油の供給も絞られていることがある。これにより、供給不足感が生じている韓国向けにシンガポール積み玉が流入し、韓国積み相場がシンガポール市況を上回る現象が生じている。その証左として、このところ現代オイルバンクはシンガポールから0.5%S重油カーゴを輸入している。
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