ヤンマーG=フィリピンの水田メタン削減事業、フェイガーと協業
ヤンマーホールディングスのグループ会社ヤンマーアグリと現地法人ヤンマー・フィリピンズ・コーポレーションは、フィリピンで取り組む水田メタンの削減事業で、農家の脱炭素支援などを手掛けるフェイガー(東京都港区)と協業する。田の表面の水深を指標とする水管理手法である「間断灌漑(AWD、Alternate Wetting and Drying)」技術による実証試験を今年11月ごろから実施する予定。水田でのメタン排出・削減量、炭素クレジット創出による農家の収益などを検証する。 6月28日の発表によると、3社は日本の農林水産省が検討を進める脱炭素の国際協力の仕組みを活用する方針。農水省は、農業分野の二国間クレジット(JCM)の活用に向け、東南アジア諸国連合(ASEAN)地域の水田由来のメタン排出量削減、AWD普及に必要な「算定・報告・検証(MRV、Measurement, Reporting and Verification)」の方法論の検討を進めている。 AWDは、水稲栽培の水管理技術のひとつ。フィリピンでは通常、水田は連続的に水を貯めた(湛水)状態で、土壌中のメタン生成菌がメタンを発生させる。AWDでは一定期間水田を乾燥させ、土中に酸素を供給することでメタン生成菌の活動を抑制し、常時湛水と比べてメタン排出量をできる。加えて、通常の水稲栽培では湛水状態を保つために大量の水を必要とし、水資源が十分でない地域では水の浪費が課題となっている。AWDは、水田を一時的に乾燥させることによる水の使用量削減と、ポンプの燃料消費の低減による温室効果ガス削減の効果も見込まれるという。
(ヤンマーグループとフェイガーの協業、イメージ) 図の出所: ヤンマーホールディングス 発表資料(6月28日)
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