ケイナンクリーン=モルディブでバイオ燃料製造、事業化に向け調査へ
廃棄物処理などを手掛けるケイナンクリーン(岐阜県恵那市)は、モルディブでココナッツオイルを原料とするバイオディーゼル燃料製造の事業化に向けた調査を5月から開始する。同社は2021年にモルディブの副大使から問い合わせを受け、使用済みココナッツオイルを原料とするバイオ燃料製造の検討をこれまで進めてきた。24日の発表によると、モルディブ国内のホテルなどから廃食用油を収集し、現地でバイオ燃料を製造する計画。製造計画の需要調査が国際協力機構(JICA)の支援事業に採択された。調査では岐阜信用金庫の支援も受ける。製造したバイオ燃料を船舶、発電機、重機用として、現地の漁業者や建設業者向けに販売していく予定。2025年度中の事業化を目指す。 モルディブでは食用油として主にココナッツオイルが使われているため、日本国内でバイオ燃料を製造する場合の原料とは油種が異なる。ケイナンクリーンは鹿児島大学の協力のもとにココナッツオイルからバイオ燃料の精製が可能であることを確認した。これまでに、現地で流通しているココナッツオイルを入手し、燃料製造の実証試験も実施済み。今後、7月に使用済みココナッツオイルの二酸化炭素(CO2)排出量やモルディブで流通している食用油について調査し、精製設備を持ち込んで現地でのバイオ燃料精製の実証試験を実施する。現地政府との協議も進める計画。10月に実施する調査では、使用済みココナッツオイルの調達先や回収方法、雇用環境、法規則、販売先などといったプラント建設に必要な用地の調査を行う。12月にJICAに調査結果を報告する予定。 約1,200の島で構成されるモルディブは、温暖化に伴う海面上昇によって多くの島が水没する危機に直面しているとされる。その一方で、再生可能エネルギーへの転換が諸外国に比べ低水準にとどまる。同国ではココナッツオイルの廃油の不法投棄による海洋汚染も大きな問題で、バイオディーゼル燃料普及の必要性が高いという。
(左:モルディブのココナッツ油・廃油、右:鹿児島大学が精製したバイオディーゼル) 写真の出所: ケイナンクリーン 発表資料
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