味の素=牛の温室効果ガス削減・産業振興、鹿児島県と連携協定
味の素はこのほど、鹿児島県、県内畜産関係団体などと、肉用牛・乳用牛から排出する温室効果ガス(GHG)削減と産業振興を図るため連携協定を締結した。鹿児島県は味の素の牛用アミノ酸リジン製剤を活用し、県内の畜産関係団体、畜産事業者、大学、金融機関などと連携してGHG削減に取り組む。味の素は今後、国が二酸化炭素(CO2)などGHGの吸収・削減量を認証する「Jクレジット」制度の利用や、牛肉・生乳の付加価値の向上などについても協定参加者と協議、検討する予定。 2日の発表によると、鹿児島県は肉用牛の飼育数が約34万3,000頭と、全国1位のシェア18.2%を占める。県のGHG排出量の約2割が畜産由来で、そのうちの約6割が牛由来という。一方、飼料高騰などにより県の基幹産業である畜産業の収益性は悪化しているとされる。 アミノ酸リジン製剤の使用により、乳用牛では乳量を維持しながら飼料コストを節約し、同時に排せつ物の余剰な窒素を減らして一酸化二窒素(N2O、亜酸化窒素)の排出も削減できる。肉用牛でも、乳用牛と同様の効果に加えて、肥育で製剤を飼料に混ぜれば体内で利用されるアミノ酸の量を増加させ、肉用牛(体内のタンパク質生成)の生産性を高めることも可能。 アミノ酸を活用したGHGの削減方法は、Jクレジット制度で認められている。特にアミノ酸を活用した肉用牛の生産性向上は、排せつ物のGHGに加え、消化管内発酵(げっぷ)のメタンも削減できる唯一の方法。 連携に参加を表明した団体、事業者、大学、金融機関は、鹿児島県農業協同組合中央会、県経済農業協同組合連合会、県酪農業協同組合、カミチクファーム、ナンチク、水迫ファーム、森ファーム、うしの中山、鹿児島大学、県信用農業協同組合連合会、鹿児島銀行。
(味の素が想定するJクレジットの活用・イメージ) 図の出所: 味の素 発表資料
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