国交省= EU排出取引の国際海運への拡大に反対を表明
国土交通省は7日、欧州連合(EU)が域内排出量取引制度(EU-ETS)の対象分野を国際海運にも拡大しようとしていることに対し、反対の意見書を4日にEUへ提出したと発表した。国交省はEUの排出量取引制度の国際海運への拡大の問題点として、(1)効果的な温室効果ガスの削減にはつながらず、海運業界の脱炭素技術への投資意欲を阻害する、(2)国際海事機関(IMO)による国際的な対策の導入に向けた議論を停滞させる、(3)限定的なメンバーで政策決定が進み、排出量取引制度が国際海運に拡大した場合、EU加盟国以外の国の海運業界も影響を受ける―といった危険性があると指摘。EUに対し、国際海運の気候変動対策についてはIMOを通じた世界共通の枠組みで対処すべきとの日本政府の立場を示した。 国交省は、EUの政策執行機関である欧州委員会のペトリチオーネ気候行動総局長とホロレイ・モビリティ運輸局長に送付した意見書の中で、IMOが検討を進めているグローバルな経済的手法(MBM: Market Based Measure)などといった対策作りを加速するよう呼びかけた。IMOの経済的手法では、燃料油課金制度や排出量取引制度などにより、温室効果ガスの削減・脱炭素技術の導入に経済的インセンティブ(報奨)を与えることを目指しているという。EUの排出量取引制度の国際海運への拡大について欧州委員会が実施した過去2度の意見募集でも、国交省は同様の意見書を提出した。
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