JR東=自家発電で燃料水素やCCUS技術の活用を検討へ
東日本旅客鉄道(JR東日本)は自家発電設備で水素を燃料として活用することやCCUS(二酸化炭素の回収・利用・貯留)技術の導入を検討する。同社の8日の発表によると検討の対象は、川崎市にある同社の川崎火力発電所2号機(出力18万7,400kW、ガス焚き)と同3号機(19万8,400kW、ガス焚き)の2基で、今後の設備更新の際に高効率化とともに脱炭素化を進める方針。具体的な時期などについては言及していない。一方、JR東日本は1日、更新工事を終えた同発電所1号機(21万2,600kW,ガス焚き)の運転を開始した。1号機は更新前に比べ、二酸化炭素(CO2)の排出係数が、約40%改善し、1kWhあたりのCO2排出量が0.41kg程度に低下することが見込まれる。JR東日本は5月にグループのCO2排出量を2050年度に実質ゼロとする目標を設定した。水素の活用は、駅での定置式燃料電池の設置、燃料電池自動車・バスの導入などでも拡大する計画。同社の速報ベースの集計では、20年度の鉄道事業のCO2排出量は194万トンで、前年度と比べ5万トンの減少だった。
グループ企業では炭素中立ガスを導入 グループ傘下で小売事業を運営するルミネは、大型商業施設(ショッピングセンター)の7店舗で使う都市ガスについて、2021年度から23年度までの3年間で、カーボン・ニュートラル(炭素中立)の都市ガスに順次切り替える。7店舗のうちルミネ大宮は21年3月に炭素中立の都市ガスを導入済み。ルミネは東京ガスから炭素中立の都市ガスを購入する。親会社であるJR東日本の発表によると、東ガスは英蘭石油大手のロイヤル・ダッチ・シェルグループから購入した炭素中立の都市ガスをルミネに対する供給に充てる。シェルは、天然ガスの採掘から燃焼までの工程で生じる温室効果ガスを、CO2クレジット(CO2削減の枠)で相殺したという。シェルは、相殺のため、検証機関が世界各地の環境保全プロジェクトのCO2削減効果を認証したクレジットを購入したとされている。
図の出所: JR東日本の記者発表
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