バイオ混合率最大30%のVLSFO価格の気配値は、ロッテルダム渡しで733.00~753.00ドル、バイオ混合率最大24%のVLSFO価格の気配値は、シンガポール渡しで682.00~692.00ドルといずれも先週から下落した。市況連動相場の商いでは、前者がFOBロッテルダム0.5%S重油市況(バージ)に対し215~220ドルのプレミアム、後者がシンガポール0.5%S重油市況比で120~125ドルのプレミアムで成約されているようだ。
このところの原油相場の下落に伴いVLSFO価格は軟化している。市況連動相場のプレミアムも先週と比べ大きく変わっていない。売り手は需要拡大を目的に、売り唱えのプレミアム幅を控えているという。欧州連合域内排出量取引制度(EUA)では、二酸化炭素(CO2)の先物価格が5日現在、トンあたり71ユーロ台前半で推移している。
廃食油(UCO)とメチルエスチル化した廃食油(UCOME)は、最大輸出国である中国出しの売り唱えが上昇している。夏場に向かい、中国出しのUCOMEの目詰まり(CFPP)値が8度で安定し、品質の高い製の供給が増えるとの見通しがあり、相場には先高観が強まっている。中国出し7月渡しのUCOは890~930ドル、同UCOME価格は1,060~1,100ドル付近で推移しているもよう。また、既報のとおり、品質を担保しているUCOや製品であるUCOMEの貯蔵タンクが減少している。市場関係者によると、ベトナム産UCOにパーム油が混入するなどの問題が発生していることも、中国産UCOの需要を下支える要因という。
一方、中国産UCOやUCOME価格は、引き続き欧米各地で回収されるUCOや精製されるUCOMEと比べ割安という。ドイツ、フランス、オランダといった欧州諸国や米国には中国産の流入が増加し、各国のバイオ燃料製造会社に損失が出ている。このため中国産を嫌う動きがあり、欧米向けの流通量が抑えられているとの見方もある。また、アジアではSAF製造用として中国産UCOを輸入する機会が減っており、7月渡しの相場の上値は重いとの指摘も聞かれる。
バイオバンカー需要は高まっている。紅海/スエズ運河での地政学的リスクが続いており、喜望峰周りの航海を続ける船舶も多く、コンテナフレートは上昇傾向にある。コンテナ不足とコンテナ船の到着が遅れていることから、約13ノットの低速航行から15~20ノットの航行に切り替えるコンテナ船も散見される。このため、欧州やアジアのコンテナ船からのバイオバンカーの引き合いが長期契約とスポット契約ともに増えている。6月以降、アジア系船会社によるタンカーや自動車船向けのバイオバンカー調達数量は、月間1万トンを超える見通しという。一方で、本格的な需要拡大には至らず、バイオ燃料在庫の消化を目的に多くの売り手は唱えを切り下げて販促を仕掛けているという。
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